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春・夏・秋・冬

 チュニジアに端を発し中東諸国にまで広がった「反体制デモ」のうねりは今年が世界の大きな転換期にあることを実感させる。ところが日本には変化の深層を語らず情報のうわべだけをなぞる「識者」が多すぎる

▼メディアに登場しても「次は北朝鮮」と根拠のないひぼう中傷を繰り返すばかりだ。デモがあった国々は歩んできた歴史や内情が異なる。市民らが旧体制を否定したと「中東動乱」をひとくくりにして解説する「識者」は、アジアにおいて「崩すべき旧秩序」が何であるかを見抜く分析力が乏しい。無知と偏見に満ちた「反朝鮮」感情を煽るコメントのオンパレードは醜いばかりだ

▼平壌の人々に、「転換期の目標」について訊ねたら何と答えるだろうか。過去数十年間、朝鮮民族が被った不幸の根元は外国勢力によって強要された分断体制と軍事的対立の構図にある。朝鮮政府は、米国が力によって維持してきたこの古い秩序を崩すために先軍路線を追求し、人民もそれを支えてきた

▼アジアにおける変化は、中東とは違った様相を見せるだろう。平壌の人々はそれを期待しているはずだ。ソ連・東欧社会主義が崩壊した時も「次は北朝鮮」という世論の扇動があった。米国の一極化体制も予想されたが、20余年の歳月が過ぎ世界は変わった。中東の親米政権崩壊が示すように、米国の存在感は急速に低落している。(永)

[朝鮮新報 2011.2.25]