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〈それぞれの四季〉 夢を仕事に


 私は1児の娘の母である。子育てをしながら大好きな朝鮮舞踊を仕事にしている。8歳の時、金剛山歌劇団の舞台を見て「いつか必ず私もあの舞台に立ちたい!」と夢を抱き、奈良の小さな学校で踊りの練習をしてきた。夢かない、今、その舞台に立たせてもらっている。18歳で上京し、15年が過ぎようとしている。その間、結婚し子どもを授かった。生活面で大きな変化があった一方で、変わっていないのが踊り続けているということだ。踊りは私の生活の一部になっている。

 出産後再び踊り始めた時は苦労もあった。舞踊家として体を鍛えなおすため昼は練習、夜は何度も起きる子どもをあやしながら体力の限界を感じたこともあった。でも、内面から溢れ出るパワーが漲り、心は充実していたのを憶えている。復帰の際に一番悩んだのは子どものことだ。片時も離れたくないのが本心だったが、踊りを仕事にできるということは、私にとっては大金を稼ぐよりやり甲斐があり、苦労してでもせねばならないとの使命感もあった。

 劇団は毎年ツアーを行う。そのたび子どもをシオモニ(姑)に預けなければならない。シオモニは仕事を抱えながら、時にくじけそうになる私を励まし、背中を押し、全身全霊で協力してくれる。シアボシ(舅)とシオモニ、そして各地の公演先で温かく迎えてくれるトンポたちに助けられて舞台に立ち続けられている。感謝の気持ちを胸に今日もこれから練習場に向かう。移動中には晩ご飯のメニューを考えながら。みなさん、これからも見守ってください。(文淑礼、東京在住、舞踊家)

[朝鮮新報 2011.1.28]