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破天荒なエネルギー

 生き方と業績双方において私に強いインパクトを与えた女性がいる。−アグネス・スメドレーである。米国で先住民の血をひく小作農の家に生まれ、貧困と無知がもたらす悲劇を目の当たりにしながら育つ。少女の頃、鉄砲を撃ち、馬に乗り、ケンカに加わって男になろうと努力した。

 苦学の末、抑圧された者のなかに身を置き続けることを決意し、女性解放運動やインド独立運動にも身を投じた。

 1920年代ドイツで記者を経て、反帝国主義闘争と革命のただなかにある中国に入っていく。ラジパット・ライ、ネール、ゾルゲ、周恩来、魯迅、朱徳、宋慶齢などと関係をもち、ジャーナリストとして肉迫したルポや伝記を書き続けた。

 彼女の荒々しさや明確かつ大胆な主張、人間の苦悩なり希望への燃えるような共感のありかたが多くの回想に登場する。

 「彼女は今まで会ったうちで、最も徹底した国際派である。そして彼女には封建的な要素がまったくなかった。その凛とした輝きは忘れがたかった。−時にはとげとげしいほどの痛烈さを持ち、時には世間体にとらわれずに斬新さを求め、時には悪を憎むあまり思慮深さを欠き、時にはまったく自分を殺して他人につくすのだった」(茅盾)

 自由と解放を求めて世の不正を暴き、世界の行く先々で対象に体当たりしたスメドレー。決して権力に忠誠を誓わず、いつもひとり孤立していた。彼女の休戦も妥協もない戦いが成し得た躍動に、私は共鳴するのである。(李杏理、大学院生)

[朝鮮新報 2011.8.31]