共和国で進む原油開発
推定埋蔵量は50億〜400億バーレル/安州、西海で地力の探査作業
共和国の原油開発問題が内外の関心を集めている。昨秋、南朝鮮や日本の新聞、週刊誌なども「石油の埋蔵量は400億バーレル」(1バーレル=158.934リットル)「外国資本、技術誘致に全力」などと報じた。共和国原油工業部の関係者の話などをもとに、原油開発の現状を追った。(本社記者羅基泰)
「経済的価値は十分」カナダ社が評価/外国資本投資で開発も促進
昨夏には450バーレル採掘
共和国ではここ数年、南浦沖合と安州地区でのボーリング作業と、外国企業による西・東海での物理探査作業に力が注がれている。南浦沖合では7ヵ所でボーリングを行い、昨年6月に450バーレルの原油を掘り出した。一方、イタリア、英国、日本など各国企業が原油工業部と協議し昨夏にはスウェーデンのトーラス・ペトロリアム社が西海で、オーストラリアのビーチ・ペトロリアム社が東海で弾性波探査作業を行った。
カナダのカンテック社は昨年9月25日、米国で発表した資料で「朝鮮西海の大陸棚606号地区に50億〜400億バーレルもの原油が埋まっている」という事実を公表した。「韓国日報」が9月26日付で、「探査の結果、良質の原油をボーリング」「『経済的価値は十分』と評価」と報道し、一躍、注目の的となった。
65年からスタート
共和国の原油探査は1965年8月、燃料資源地質探査管理局の発足からスタート。68年10月には平安南道粛川郡に専門の研究所が開設された。
83年10月に発足した原油探査総局は、西海の南浦沖合での探査に力を入れ、ボーリング設備を独自に建設、シンガポールから探査船も購入した。90年代からは東海の元山沖合でも探査を開始。93年7月には原油工業部に格上げされ、94年4月の最高人民会議第9期第7回会議では、原油工業部門への投資を拡大し、より多くの埋蔵地を探し出すことが強調された。
原油工業部が発表した資料によると、地質学・地理物理学的分析とボーリングの結果、7ヵ所の原油埋蔵地のうち、西朝鮮湾盆地と安州盆地が有望だという。関係者も、西朝鮮湾盆地には推定50億〜400億バーレルの原油があると試算する。
21世紀の実現展望
共和国では現在、安州地区と西海でボーリングを続けている。埋蔵量が確定されてこそ本格的な開発に取り掛かれるため、原油工業部では埋蔵量を確定する準備を進めている。しかし、外貨不足のため作業が遅れているのが現状だ。
ボーリングの際に2000〜3000メートルまで掘る共和国では、陸地で1坑当たり100万〜900万ドル、海上では200万〜千数百万ドルもの費用が掛かると言われる。社会主義市場の崩壊や自然災害により、食糧問題をはじめ経済状態が厳しい共和国では、資金の捻出は難しい。
こうした現状から、原油工業部では外国企業との提携に力を入れており、今年は外国で説明会を開く計画もあるという。外国資本の投資が多いほど、原油開発は進行することとなる。
原油工業部の鄭成国局長(51)は「4者会談が進み、朝米関係が改善され、南北経済交流も活発になれば、原油開発の展望はさらに開ける。朝鮮半島を取り巻く国際情勢が良くなりさえすれば、原油生産は時間の問題だ」と指摘する。
自力で原油探査を進める共和国で、外国企業からの投資が実現すれば、21世紀の早い時期にも石油生産が実現することは確実と言えよう。