再建朝鮮学校 その後
伊丹初級――若い父母ら、運営に奮闘
東神戸初中級――朝・日親善の気運続く
伊丹初級教育会では昨年末、同校の運営資金確保のために、椎茸とみかんの訪問販売を行った。
同教育会は11月、震災後に結成された新校舎建設委員会の解散と時を同じくして、金鐘國会長(40)をはじめ役員が一新された。
伊丹・川西両市の同胞らは、地域ぐるみの運動の末、震災で使用不能となった校舎を再建(昨年3月竣工)したばかりで、民族教育に向けるまなざしは熱いものがある。それだけに、建設委から移行する形で結成された新校舎管理委員会とともに、新しい教育会役員への期待も大きい。
両者のうち、新校舎管理委員会は、建設資金の未収金を集め、さらに超過分資金の運用益を学校に還元する。委員長は、建設委の中心メンバーでもあった商工会の池基俊理事長(47)だ。
これに対し教育会は、「とにかく体を動かすことを基本にしたい」(金会長)と言う。その第1弾が、みかんと椎茸の販売だった。
金会長をはじめ副会長、理事ら6人は、12月11日から25日の間の10日間、夜7時頃に学校に集合。品物を車に積み込み、地域の同胞宅を回った。
時には深夜に至ったという苦労の甲斐あって、300軒をまわってみかん369ケース、椎茸253袋を販売し、「初仕事としては上々」(金会長)の結果に終った。
記者も最終日に同行したが、同胞らは「若い会長の周りに皆が団結して頑張って」と声をかけていた。
金会長は「学校運営で大きな役割を担ったことで、正直言ってプレッシャーもある。しかし、学校建設運動でできた、いい雰囲気に乗って活動を始められた。今後も地道に根気よく、同胞と顔を合わせていくことを基本に活動を続けたい」と話していた。
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昨年11月末、東神戸朝鮮初中級学校の北側市道交差点に、信号機が新たに設置された。同校正門に面したこの市道は、JR灘駅南側ロータリーにつながっているため交通量が多く、震災後は大通りの渋滞を避ける抜け道として使う車も増えたという。
このため、新校舎が完成した昨年3月ごろから、オモニ会が「事故が起きてはたいへん」と、「朝鮮学校を支えるおんなたちの会」や地域住民の応援を得て、兵庫県警などに信号機設置を粘り強く陳情。実現の運びとなった。
同校教育会の白煕奎教育会長は「信号機はまさに、この学校のために設置されたと言える。それも思ったより早く実現した。地域住民の協力など、震災をきっかけにした朝・日親善の機運が生きている」と話す。
震災時、朝・日の助け合いの場として注目された同校は、地震で使用不能となった校舎の新築運動でも、多くの日本人の支援を受けた。数は減ったもののそういった支援は今も続いており、月に1、2組は、学者や研究者を中心に日本人が見学に訪れると言う。
白会長は「生徒の学習意欲も上がっており、同胞、日本市民からの多くの支援が色々な面で実っている。震災で父母、同胞らが受けたダメージはいまだ大きいが、一層の発展を遂げることでそれに報いたい」と語っていた。(賢)