被災地経済、同胞業者に厳しい状況
17日で、阪神・淡路大震災から丸3年となった。被災地では神戸港など、インフラの復旧は進んでいる反面、景気は悪化の一途をたどっている。1年ほど前には現地の行政や財界で言われていた「8割復興」との言葉も、最近ではあまり聞かれなくなった。
民間信用調査機関がまとめたところによると、兵庫県の昨年の倒産件数は609件で前年比約2.5割増、過去10年間で最悪となった。
景気の悪化は日本全国で同様だが、倒産件数の全国平均が約1.5割増であることを考えると、震災の後遺症をひきずる兵庫はより深刻なようだ。
また阪神・淡路産業復興推進機構の調べによると、震災以降、回復基調にあった売上高は昨年半ば頃から、中小零細を中心に再び低下傾向に陥る現象が顕著になっている。
昨年11月の経営破綻件数は、前年同月比で建設業9倍、飲食業5倍と、多くの同胞が携わっている業種がとくに深刻なことが気にかかる。
一方、同胞業者が多く、震災で被害の大きかったケミカルシューズ業界は、神戸の業界が得意とする人工素材を使った「ストレッチブーツ」のヒットで、婦人靴を中心に好調な傾向も見られ、業界団体の統計によると、昨年11月の加盟企業の出荷高合計は、前年同月比で11.4%増になった。しかし売上自体は、震災前年に比べると34.9%減で、厳しい状況は今も続いている。
兵庫県商工会では、「同胞商工人からは、業種転換や資金繰りの相談が増えている。同胞商工人は震災後も、自分で頑張って活路を開こうと努力してきたが、日本全体を覆う不況がその前途を塞いでいる。今後は商工会でも経営面でのアドバイスに力を入れ、同胞商工人とともに難関を切り抜ける道を探りたい」としている。