「同胞法律・生活センター」開設から50日/生活全般にわたる相談内容
昨年12月1日、東京・上野に「同胞法律・生活センター」がオープンしてから50日が過ぎた。同胞が抱える法律・生活上の諸問題に対応する、同胞専門家による初の常設・無料相談所として出帆した同センターに対する反響は大きく、持ち掛けられた相談件数は12月26日までで、延120件。関東近辺だけでなく、宮城県や熊本県など遠方からも相談が寄せられた。相談者の中からは「このような常設の総合的な相談センターを心待ちにしていた」など、設立を喜ぶ声が上がっている。
国籍、在留資格など同胞特有の問題が6割
センターの事業内容は、法律・生活など全般にわたる無料相談をメインとし、資格取得のアドバイス、関係図書・資料の展示・閲覧、パンフの発行など。業務は月曜日から金曜日までの午前10時〜午後5時で、相談内容により曜日を特定し、弁護士、司法書士、行政書士、税理士、ブライダルカウンセラーなどの同胞専門家が対応している。
業務を始めた12月1日には、さっそく18件の相談が持ち込まれた。直接事務所に持ち込まれたのは4件で他は電話による相談だったが、大阪に住む同胞からも相談が寄せられるなど、初日から関心の高さをうかがわせた。
相談件数延120件のうち同胞が直接事務所を訪れたのは2割。電話相談が七割以上で多数を占めたほか、ファクスによるものもあった。
相談者は「韓国籍」の同胞が多く、次に朝鮮籍、日本籍(帰化者)と続く。本人以外の家族や友人、知人など第3者による相談も1割程あった。
持ち込まれた相談案件では、日本国籍の離脱・取得など国籍問題が全般の20%を占め最も多く、続いて相続問題が17%、離婚・結婚(婚姻含む)が10%、金銭貸借が9%、交通事故が5%となっている。その他、姓の変更、在留資格、立退き、不動産売買など相談内容は生活全般にわたっている。
こうした統計から見る相談案件の特徴として、@同胞特有の問題が60%を占める A相談内容が生活の全領域にわたっている B相談者の範囲が幅広い―などが挙げられる。
センターの殷宗基室長の話 「多くの同胞が法律・生活上の悩みを抱えており、日常的に相談できる機関を知らずに悩んでいた。相談の内容が生活の全領域にわたっていることからも、常設的で総合的な相談センターが開設されたことは同胞のニーズに合った、時代を先取りしたものとなるだろう」
同胞特有の相談内容の一例
○「韓国」に亡くなった父親名義の土地があるが、朝鮮籍でも土地を相続できるのか。(朝鮮籍の男性)
○朝鮮学校を卒業したが行政書士の資格取得 は可能か。(朝高卒業生)
○日本人配偶者との間に生まれた子供の国籍が日本になっている。「韓国」の国籍法が父母両系主義に改正されたと言うが、この場合この国籍を日本から「韓国」に変えることも可能か。(「韓国籍」の女性)
相談者の声
何でも相談
相談に応じてくれるのが同胞の専門家なので安心して何でも相談できる。(結婚問題の相談に訪れた女性)
迅速な対応
日本の専門家に相談した時はたらい回しにされたが、このセンターではすぐに対応策を教えてくれた。最初から同胞の専門家に相談すれば良かった。(国籍問題の相談に訪れた男性)
無料の驚く
無料で対応してくれるのには驚いた。困っている同胞のために親身になって相談にのってくれることはとても喜ばしい。(海外旅行の相談に訪れた男性)
多面的な助言
あらゆる分野の問題に同胞専門家が協力し合って多方面からアドバイスしてくれるので心強い。(相続問題の相談に訪れた男性)