98共和国――経済動向/各担当者に聞く(1)農業
チェ・サンヒョク農業委員会副委員長
2毛作を本格導入/品種改良で高収穫を
土台築いた昨年
労働新聞、朝鮮人民軍両紙に掲載された共同社説は「農業戦線は社会主義経済建設の1211高地だ」と指摘した。
1211高地とは、朝鮮戦争勝利の決定的な契機を開いた激戦地。農業が、経済活性化の突破口を開く重要な位置にあることを示している。
昨年は、異常高温と旱ばつ、高潮などの自然災害が重なり一部地域では甚大な被害を被ったが、全般的には少なからず成果を達成できた。農業生産量で前年に比べ一定の成果があったうえ、種子の確保、水害地域の復旧などで、今年につながる土台をしっかりと築いた。
こうした成果を達成できた要因は、農業勤労者たちが必死でたたかい、朝鮮人民軍兵士を中心に全人民が一丸となって農業支援をしたことにある。
また、2毛作など新たな取り組みで成果が生まれ、水害被害の復旧が進んだこともある。
水稲栽培法倍増へ
今年の共同社説では農業生産を画期的に高め食糧問題を解決するための課題として、@緑色革命を進めて種子問題を解決 A2毛作を推進 Bすべての農作業を農民たちの意思とそれぞれの実情に合わせてチュチェ農法の要求に従い展開 C家畜を中心に畜産業を発展――を掲げた。
緑色革命はつまり、品種改良を通じて収穫を高めることだ。そこで原則は、肥料を少なく使いながらも、成長の早い品種を作ることである。とくに近年課題として提起された2毛作に合った品種作りに力を入れている。すでに今年の営農に向け、こうした新しい品種の種子を確保し、海外から良質の種子を仕入れている。
人口に対して耕地面積の少ない共和国では土地を有効利用できる2毛作の推進はとくに重要だ。2毛作によって、農作物の多様化も図れる。
現在、われわれが作っている作物でも、東海岸は咸鏡南道・咸興以南、西海岸は平安北道・定州以南で2毛作が可能だ。
昨年までは試験段階とも言えたが、期待通りの成果が上がったので、今年からは大々的に本格導入する。
これにともない、大成苗による新たな水稲栽培法(従来より田植え時期を1ヵ月ほど遅らせて大きく育てた苗を植える)も、一部地域で実施した昨年の2倍以上の地域に拡大する。大成苗用の田植え機械も新たに開発した。
官僚主義を一掃
さらに、農民の意思と実情に合わせた農業を行うことについて見てみよう。共和国では地域によって気候風土、農作業を行う条件が異なる。その実情をよく知る現場の農民たちの意思に基づいて、作物を選び育てる方法を決めなくてはならないのは自明の理だ。
しかし以前はそうしなかった部分がある。例えば、田植えの開始日などは中央ですべて一律に決めていた。
このように、適地適作、適期適作を原則とする科学的なチュチェ農法を正しく具現できなかったのは、農業部門の幹部、活動家の責任だ。その教訓から、われわれ農業部門の活動家は常に現場に入り、官僚主義と主観主義を一掃するため努力している。
これと関連し、初の試みとして1月13日から全国各市、郡協同農場の技師長をすべて集めて講習会を開いた。ここでは新たな品種や技術に関する理論、経験について原理講習を行った。参加者らは農場に帰った後、講習で学んだものの中から何をどう導入するか、現実的に検討して決定する。
次に畜産業だが、96年初からヤギを中心に草食家畜を増やす政策を大々的に推進してきた結果、この2年間でヤギの頭数は2倍以上に増えた。今年も管理を強化して牧草地も造成し、引き続き頭数を増やしていく一方、品種改良にも力を注ぎたい。
淡水魚の養殖、キノコ栽培などにも引き続き力を入れていく。
微生物肥料で成果
化学肥料不足の対策の一環として昨年、在日同胞の協力を得て、新たに複合微生物肥料を導入し、良好な作柄をもたらした。昨年の経験をもとに、2年目の今年はより大きな成果を出したい。
一方、南興青年化学連合企業所、興南肥料連合企業所も今年に入って稼働率を高めている。それでも足りない分は輸入する対策も立てた。
また、昨年の旱ばつ被害を教訓とし、貯水池に水を入れるための電気を優先的に確保。被害を受けた溜池はすべて復旧した。また高潮で決壊した堤防を復旧する際には、従来の基準より高く基準を定めた。
農業技術、品種改良などでは、諸外国や国際機関の協力も得ている。
近年、協同農場の最小単位、分組の規模を小さくするなど一部改善を加えたが、社会主義経済管理原則は堅持していく。一方、幹部たちが現場に入り、実情を常に把握するとともに農民たちの熱意を促し、工程別にきちんと活動を総括しながら前に進むという原則を徹底させ、築いた土台と潜在力を最大限に生かしたい。
私も年始から平安北道一帯を回った。全活動家が連日、現場に入っている。各農場では堆肥の搬出や土地の耕し、農機具の修理や整備、各種種子の運搬準備など、春の営農準備が盛んだ。農民たちの意欲もいつになく高い。
今年の冬は例年より温かい。私の経験から言うと、冬温かいと3〜4月は寒くなり、田植えをする5月は暑くなる。これは農業にとって大変いいことだ。(平壌発=本社韓東賢)