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「許せぬ暴力、人権差別」/203人の各界日本人士が首相、衆参両院議長あてに要望書


 共和国の「人工衛星」打ち上げを、日本政府が「弾道ミサイル」だと決めつけ、騒いでいることを背景に、朝鮮学校生徒への暴行・脅迫事件が相次いでいることと関連し、日本政府が在日朝鮮人の人権を守るために適切な対応を取るよう求め9月28日、女性を中心に国会議員、県・市・区議をはじめ203人の各界日本人士が連名で首相、衆参両院議長あてに要望書を提出した。提出したのは「チマチョゴリへの暴力を許さないネットワーク」(呼びかけ人=富沢よし子杉並区議ほか4人)。「何の罪もない朝鮮学校生徒に対する暴力は許せない」とし、全国で賛同人を集めた。

 代表らは総理府を訪れ小渕首相に、衆議院議員会館、参議院議員会館を訪れ両院議長に、要望書をそれぞれ提出した。

 要望書は、「朝鮮に帰れ」「お前たちの学校にもミサイルを発射する」などの脅迫電話が学校にかかってきたり、生徒が傘で殴られたり、唾を吐きかけられたなどの被害状況について説明。集中的に起こっている在日朝鮮人に対する暴力は民族差別、女性差別、弱者に対する暴力だと指摘した。また野中広務官房長官が24日、在日朝鮮人に対する暴行事件を防止する措置を講じるよう関係省庁に指示したことに言及し、日本政府が適切な対応を取り、在日朝鮮人の人権を守らなければならないと強調した。

 代表らは要請後、参議院面談室で記者会見した。会見には中川智子衆院議員、福島瑞穂参院議員、清水澄子参院議員、日本婦人会議の津和慶子議長ら10人が参加した。

 同ネットワークは4年前、「核疑惑」騒動を背景に各地でチマチョゴリを着た女生徒に対する暴行事件が連続して起こった時、「チマチョゴリに対する暴力を許しません!」と書いたバッチを9000個作り、人権侵害に反対する世論を盛り上げた。代表らはその時のバッチを付けて会見に臨んだ。

 4年前にも中心的に活動した富沢区議は、「子供たちが朝鮮語で話しているだけで迫害を受けている事実を聞いて、彼らに対する暴力を絶対に許せないと思い、賛同人を集めることにした。呼びかけてみると『このような動きを待っていた』と、多くの女性が協力してくれた」と述べ、日本政府が差別をなくすための具体的な措置を講じるべきだと強調した。

 福島議員は「日本社会が4年前とまったく変わっていないと実感している。この間、日本は国連の『人種差別撤廃条約』に批准したが、その後政府は何を検討し、改善したのか明らかにすべきだ。条約に沿った実効性のある変化が起こるよう政府に強く求めなければならない」と指摘した。

 席上、代表らは在日朝鮮人に対する根深い差別が事件の背景にあるだけに、朝高卒業生の国立大学受験資格を保障したり、朝鮮を植民地支配した過去を清算する中で、差別を許す社会的風潮を変えていかなければならないと述べた。