実証//共和国の人工衛星(中)「事前通告」
成功確認後の発表が常識
宇宙の平和利用は常識
「国際法に抵触する要素がある」(小渕総理)
「国際法を無視した乱暴な行動」(玉沢自民党安全保障調査会長)
共和国の公式発表で、打ち上げられた物体は「ミサイル」ではなく、人工衛星であることが判明した。にもかかわらず、日本の政治家たちは「衛星であれミサイルであれ」国際法に反するとして、「事前通告」について未だに騒いでいる。
ではここで言う国際法とは何か。ロケットや人工衛星は宇宙法の適用対象となる。宇宙法の一つ、宇宙条約(67年発効)では、宇宙の開発利用の自由原則、通報秩序などが規定されている。
第1条「探査利用の自由」では、「月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用は、すべての国の利益のために、その経済的又は科学的発展の程度にかかわりなく行われるものであり、全人類に認められる活動分野」とし、誰もが衛星やロケットなどの人工宇宙物を自由に打ち上げ、科学探査調査活動を自由に行えることを保証している。つまり人工衛星の打ち上げは、その国の主権に属する問題であり、誰に対しても事前通告する義務はない。
旧ソ、米、中も通告せず
また同条約第11条「情報の提供・公表」は、「宇宙空間の平和的な探査及び利用における国際協力を促進するため、その活動の性質、実施状況、場所及び結果について、国際連合事務総長並びに公衆及び国際科学界に対し、実行可能な最大限度まで情報を提供することに同意する」と規定している。ここから人工衛星などの打ち上げ後に、その目的、状況などについて説明すればよいとの解釈が可能だ。
世界で初めて人工衛星打ち上げに成功した旧ソ連は、57年10月4日、事前通告なしに衛星を打ち上げ、翌5日に成功を発表した。米国、中国も初の人工衛星を打ち上げた際、事前通告はなく、成功後に発表している。
日本も過去68回にわたって衛星を打ち上げたが、共和国に事前に通告したことは一度もない。
つまり通報に関する国際的秩序は、宇宙物打ち上げ前に通告するのではなく、宇宙物打ち上げ後、それに関連する情報を発表するのが常識となっている。
共和国は衛星が軌道に乗ったのを確認した後に、打ち上げ地点、衛星の軌道、運搬ロケットの分離と落下地点、回転周期と回転数など詳細な資料を公式に発表した。
また共和国の人工衛星が宇宙の平和的利用であることを明白にした国連駐在朝鮮常任代表部の9月17日付声明は、国連安保理の公式文書S/1998/866号として配布されている。
15日の国連安全保障理事会非公式協議では、日本の立場を考慮した「報道向け声明」が発表され、共和国が再び「事前通告」なしにこうした行動を取らないよう呼びかけた。
しかし国連安保理は、かつて8ヵ国が4000個以上の衛星を打ち上げた際、それを問題視したことは一度でもあっただろうか。なぜ共和国の場合だけを問題にするのか。これは不当な2重基準の適用である。(基)