時事・解説/共和国初の人工衛星「光明星1号」打ち上げ成功
純国産の技術に驚嘆/9番目の衛星保有国に
共和国初の人工衛星「光明星1号」打ち上げ成功が伝えられてから約1ヵ月。9番目の衛星保有国に堂々と名を連ねた共和国の技術力は世界を驚かせた。その意義について見た。(根)
先端科学の集大成
打ち上げ成功の意義としてはまず、純国産品を1回で打ち上げ、軌道に乗せたという技術的な高さが挙げられる。
これまで国産衛星打ち上げに成功した国は、人類史上初の人工衛星「スプートニク1号」を打ち上げた旧ソ連(1957年)と、その後を追って「エクスプローラー1号」を打ち上げた米国(58年)を筆頭に、フランス(65年)、日本(70年)、中国(同)、英国(71年)、インド(80年)、イスラエル(88年)と、わずか8ヵ国にすぎない。
人工衛星の打ち上げには高度に発達した科学技術と強力な軍事・経済的潜在力が必要で、打ち上げ技術は最先端科学技術の集大成と言われる。したがって失敗も当然多く、例えば日本が初の人工衛星「おおすみ」を打ち上げた際には、4度の失敗を経て5度目でようやく成功している。
コストの問題もある。発射場と衛星の操縦、衛星との通信だけでも、専門家の推算では3億ドル以上かかり、他国に打ち上げを依頼した場合には、衛星の重さ1キログラム当たり1万5000〜2万5000ドルが必要という(労働新聞9月17日付)。
それだけに、共和国が純国産の多段式ロケットを打ち上げ、衛星を軌道に乗せるまでの一連の作業を1回で見事に成功させたことは大きな意義を持つ。
南朝鮮でも評価の声
共和国では1980年代から、気象観測や衛星通信を目指して宇宙システム工学の研究や人工衛星の打ち上げに本格的に着手した。92年には「光明星1号」本体と運搬ロケットの開発が基本的に終わり、打ち上げ準備も完了。共和国創建50周年の記念すべき今年、打ち上げに踏み切った。
ロケットの操縦システムや段階分離技術、最先端技術の固体燃料を備えた高性能球形エンジン、数千度の高熱と宇宙線、放射線に耐え得る金属、非金属材料、宇宙通信技術など、使われた技術はすべて朝鮮式で、他国の技術や資材にはまったく頼っていない。
日本の専門家の間では、「技術的土台がまったくない状態から、国産技術で衛星打ち上げに成功したのは、世界にも例のないすごいことだ」と評価する声が高まっている。ミロフ・ロシア宇宙局副局長も「ロケット技術そのものは非常に高く、驚くべきものだ。われわれには何の支援要請もなかった」(9月5日発イタル・タス通信)と語っている。
南朝鮮でも、同族の衛星打ち上げ成功への関心は高く、「民族的な立場から、ともかく北の科学技術の水準を認め、評価すべきだ」(ハンギョレ新聞9月8日付)、「北の衛星、ロケット技術が世界の10位圏内に入るほど発展したのだ。旧ソ連のスプートニク打ち上げに匹敵する科学技術的衝撃だ」(航空宇宙研究所のユ・ジャンス博士、中央日報9月5日付)など賞賛の声が上がっている。
「1年以内に静止衛星」
一方、実用・商業衛星打ち上げの展望が開けた点でも、意義は大きい。
人工衛星はその使命によって、科学衛星や技術開発衛星、通信・放送衛星、気象衛星、地球観測衛星、測地衛星、航行・測位衛星、軍事衛星など様々な種類に分類される。「光明星1号」は徹底して宇宙の平和利用に寄与するもので、今後の実用衛星打ち上げの資料を得るため、必要な探測機材も積み込まれている。
3日に共和国から帰国した吉田康彦・埼玉大教授によると、衛星開発に携わった共和国の科学者らは「1年以内に静止衛星を目的とした次のロケット打ち上げを準備している」「今回の衛星打ち上げの目的は、山間辺地の電話、テレビなど通信状況改善のための静止衛星打ち上げの前段」などと語ったという(朝日新聞4日付)。
「光明星1号」の打ち上げ成功によって、今後は実用・商業衛星のような国際的な先端技術市場にも積極的に進出できる展望が開かれた。そうなれば、食糧問題をはじめ経済問題を自力で解決するうえで必要な外貨をより早く、より多く獲得できる土台が築かれるだろう。