「卓球強国」朝鮮をアピール/第14回アジア卓球選手権大会(大阪)
9月28日〜10月4日に行われた第14回アジア卓球選手権大会(大阪市中央体育館)に、共和国からキム・ヒョニ(19)、ウィ・ボクスン(22)、トゥ・ジョンシル(20)、キム・ヒャンミ(19)、ソン・ミスク(19)ら5人の女子選手が出場。団体で準優勝、個人戦ダブルスで8強入りと活躍した。「世界最強」と言われる中国勢の壁はなお厚いが、その座をねらう卓球強国・朝鮮の存在を、世界にアピールしたと言える。
団体戦
団体戦は3選手ずつ出場し、3ゲーム先取を競う方式で行われた。
大会当初からその実力のほどが関心を集めた共和国は、カザフスタン、ヨルダン、台湾に圧勝。強豪・香港との接戦をものにして9月30日、いよいよ中国との決戦に臨んだ。
試合では、1人目のキム・ヒャンミが王楠にストレート負けした後、双方のエース、キム・ヒョニと李菊が対戦。キムが2−0で圧勝し、勝ち星で並んだ。
ところが、3人目のトゥ・ジョンシルが国際大会初出場という16歳の新鋭、張怡寧に苦戦。セットカウント1−1となった後の第3セットでも18−18まで激しい攻防が続いたが、そこから張に3点連取され、惜敗した。
後がなくなった共和国は、再びキム・ヒョニに勝負を掛けるが、王楠に惜しくも1−3で敗れた。
個人選
128人が出場した個人戦シングルスでは共和国勢は振るわず、キム・ヒョニが16強入りするにとどまった。
しかし、キムは4回戦で日本のエースで前回優勝の小山ちれ(今回3位)と見応えあるシーソーゲームを展開した。
第1セットを落としたキムは、2セット目を21−10で取り、挽回した。
3セット目は、左右両隅に変化を持たせて打ち込まれるボールを、鋭いサイドステップを生かして的確に処理して15−20のビハインドから4点連取。巻き返しを図った。
しかし反撃もここまでで、このセットと第4セットを続けて落とし、セットカウント1−3で敗れた。
一方、ダブルスでは、ウィ・ボクスン、トゥ・ジョンシル組が準々決勝に進んだが、巧みなカット(守備)から不意を突く中国・香港の混合組に0−2で敗れた。
対中国、エース対決では一矢/精神面鍛え実力開花を
共和国女子は、李菊(世界ランク2位)と王楠(同3位)を擁する中国チームと、これまで2度、戦っている。昨年2月の地球ユース(千葉)と4月の世界選手権(マンチェスター)で、いずれも決勝で敗れた。今回は「3度目の正直」を期したものの、またもや苦杯をなめた。
中国は今大会でも、女子個人戦ダブルスをのぞく全部門を制し、圧倒的な強さを見せつけた。女子では主力の李(22)や王(20)も若く、勢いは当分、続きそうだ。今や「誰が中国を倒すか」が、焦点になっている。
こうした流れの中にあって、共和国は南朝鮮や香港とともに、打倒中国をねらえる確かな位置にある。今回も、「団体では中国に勝つことが目標」(アン・ヨンイル監督)だった。
エースのキム・ヒョニは、地球ユースでの対戦で王を下し、今回も李に快勝して一矢を報いた。
国際審判員の小林敏子氏はその戦いぶりを評し、「中国と対等に戦う実力、とくに小さな体で世界2位の選手を破ったキム選手のパワーとファイトには感服した。日本の選手も多くを学んだはず」と語る。
トップとの間を詰める課題も、見えてはいる。
対小山戦に敗れた後、キムは「相手は試合が進むほど体がほぐれ、調子を上げるのに、自分はそのペースに巻き込まれる一方。変化球への対処もまだまだ」と、反省点を挙げた。
ただ以前から指摘されていた、気分の浮き沈みが激しいメンタル面の弱さは相変わらずで、とくに個人戦では勝つべき試合を次々に落とした。
選手らは大会後、「一生懸命応援してくれた同胞らをもっと喜ばせたかった。12月にバンコクで行われるアジア大会では、もっと良い結果で報いたい」と話していた。
祖国や在日同胞の期待と応援の中で、選手らが一段と成長し、その実力を開花させる日を待ちたい。(順)