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ここが知りたいQ&A/防衛庁が最終報告を発表したが


衛星と認めたも同然/「ミサイル」固執は軍事大国化への口実

  防衛庁が共和国の人工衛星打ち上げに関する最終報告を発表したが。

  10月30日に発表されたもので、共和国の打ち上げた物体が人工衛星ではなく「弾道ミサイル」であったと結論づけた。だが一方で、「極めて小さな物体を地球周回軌道に投入することについての理論的な可能性を完全に排除することはできない」と、事実上衛星と認める矛盾した見解を示した。日本のマスコミも、米国の人工衛星打ち上げ説とも「何とか矛盾しない玉虫色の内容」、「映像などから見れば、ミサイルというにはあまりにも細長すぎる。やはり衛星を打ち上げたと考えた方が妥当」、「衛星打ち上げの可能性に含みを持たせた」などと指摘した。軍事評論家の江畑謙介氏は「ロケットが(先端部分のカバーも含めて)4つの物体に分かれたのを認めるのは、人工衛星の打ち上げだったと認めたも同然」(読売新聞10月30日付)と、防衛庁が「ミサイル説」に固執することに疑問を呈している。

  では何故日本政府は「ミサイル」説にこだわるのか。

  一言で言って軍事大国化への野望を実現するためだ。敵の弾道ミサイルを偵察衛星などの監視装置で察知し迎撃ミサイルで打ち落とすという戦域ミサイル防衛(TMD)構想を米国と共同研究していくことで合意したのは端的な例だ。1990年に米国が正式に発足させたTMDが日本で論議され始めたのは93年からだが、今回、「ミサイル」を口実に一気に研究合意へと突き進んだ。独自開発の情報衛星導入も本格化し、米・日・南朝鮮の軍事一体化も進んでいる。防衛庁の報告書では、「ミサイルの発射等により的確に対応するための」徴候把握段階における十分な情報収集・分析態勢の確保が必要だと強調した。

  人工衛星打ち上げ直後にとられた一連の「規制措置」はどうなるのか。

  日本政府は10月21日、米国の強い働きかけに押されて「規制措置」の1つである朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)への軽水炉建設費拠出凍結を解除、費用分担に関するKEDO理事会の決議書に署名した。だが、朝・日国交正常化交渉や食糧支援の凍結、朝・日直行チャーター便運行中断などは当分解除しないという。日本は衛星と認めれば「規制措置」の根拠がなくなることから、「ミサイル」説に固執したともとれる。

  日本政府が対共和国敵視政策を取り続けていることから、在日同胞の生命をも脅かす犯罪が相次いでいるが。

  そのとおりだ。人工衛星打ち上げ直後から総聯中央と各機関、朝鮮学校、朝銀、個人に対する右翼団体などの脅迫、暴行、暴言事件が頻発し、チマ・チョゴリ姿の女生徒たちが狙われる事件が再び起きていた。そして10月15日には、千葉朝鮮会館が放火され、総聯千葉支部副委員長が殺害されるという前代未聞の凶悪事件まで発生し、3日早朝には総聯中央会館に火炎瓶が投げ込まれる事態にまで発展。神奈川朝鮮会館にも火炎瓶が投げ込まれた。背景には日本政府の敵視政策に基づく一連の「規制措置」がある。総聯の破壊と在日朝鮮人の迫害を狙った政治的意図を持った計画的犯罪だ。