3万人が参加した南朝鮮「民衆大会」/IMF協約撤回や整理解雇制撤廃などを強調
全国民主労働組合総連盟(民主労総)をはじめ、南朝鮮の60の市民・社会団体の共催による「98民衆大会」が8日に催され、3万余人が参加した。大会では、深刻な通貨・金融危機から生存権の危機に瀕する労働者の現状を打破するため、国際通貨基金(IMF)との支援協約撤回や整理解雇制撤廃などを強く訴えた。大会の背景と特徴について見た。(根)
大会開催の背景には深刻な経済事情がある。南朝鮮では、昨年1月の韓宝グループ倒産を引き金に財閥・中堅企業の破たんが相次いだ。通貨ウォンと株価が暴落し、対外的信用も急降下。12月にはIMFの支援実施で合意した。
以後、貿易収支はかろうじて黒字に転じたものの、状況は好転せず、今年2月には整理解雇制導入を強行。6月には経営難の55社と都市・地方銀行5行の強制整理に至った。労働者の職場は失われる一方で、9月末現在の失業率は7.3%で、失業者数は157万2000人に達するなど、深刻さを増している。
そんな中、最大の被害者である労働者を中心に、生存権保障を求める南朝鮮各界の民衆が立ち上がり、大会開催に至ったのである。
大会の特徴としてはまず、参加団体の分野の幅広さが上げられる。
会場となったソウル・汝矣島の漢江市民公園に集まったのは、民主労総をはじめ、参与民主社会市民連帯、全国教職員労働組合、全国農民会総連盟、民主社会のための弁護士の集い、「韓国青年同盟」、「韓国民族芸術家総連合」、全国障害者家族協会など様々な団体のメンバーや大学生。これは「新『政府』出帆以降、最大規模」(ソウル新聞9日付)だ。労働者中心のこれまでの大会では見られなかった光景だ。
もう一つの特徴は、IMF協約撤回という主張が明確にうたわれたことだ。
大会では、整理解雇制撤廃や軍備縮小による失業基金確保などの「民衆10大要求」が採択されたが、メインはIMF協約撤回だ。
これまで、メーデーの際の市民デモや5月末の民主労総のゼネストでは整理解雇制撤廃が最重要課題として掲げられたが、今回はIMF体制を受け入れながらも事態の好転を招くことができなかった「政府」の失政を厳しく追及するとともに、効果のないIMF体制そのものを非難しており、従来の「雇用安定」を叫ぶ集会のスタイルとは一線を画している。
ステージには「生存権死守! 財閥解体! IMF反対!」「社会改革を勝ち取ってIMF体制を終わらせよう」などのスローガンが掲げられ、「雇用・失業対策、財閥改革、IMFへの対応のための汎国民運動本部」の李昌馥常任代表も「『国民の政府』出帆から8ヵ月が経ったが、民衆の生活は日ごとに疲弊している。IMF体制を受け入れた財閥や保守政治家、高位官僚は民衆の苦痛から目を背けている」と強調するなど、「反IMF」色の濃い大会となった。
南朝鮮は来月、IMF協約締結1周年を迎えるが、大会主催者側は「政府」が要求を受け入れない場合には来月中旬に2回目の大会を開くとしている。