日弁連が初めて強制連行被害者の公式現地調査/栃木県足尾銅山
第2次世界大戦時、栃木県の足尾銅山に強制連行されてきた鄭雲模さん(千葉県在住、76)が、今年5月に日本政府に対し名誉回復と公式謝罪を求めて人権救済の申し立てをしたことを受けて10月30日、日本弁護士連合会(日弁連)が朝鮮人強制連行、強制労働に関して初めて公式現地調査を行った。
現地調査には、日弁連人権擁護委員会副代表の床井茂弁護士、田代博之弁護士、栃木県強制連行真相調査団(日本人側=飯塚昭吉団長代行、朝鮮人側=趙吉寿団長)と千葉県朝・日合同調査団の代表ら11人が参加し、足尾銅山の洞窟や収容所跡などを回った。
強制連行された当事者として日弁連に初めて人権救済の申し立てをした鄭さんは、20歳の時に南朝鮮の忠清北道から足尾銅山に強制連行された。1942年2月から44年3月まで2年2ヵ月の間、12時間から18時間の重労働を強いられたが、賃金はたばこ代にもならなかったと話した。
さらに最悪の環境での重労働に加え、リンチを受けたりしながら「お前ら半島人なんか3銭も出せばいくらでも引っ張ってこれる」とののしられたという。
田代弁護士は、現地調査を通して、「当時朝鮮人が非人間的な待遇を受けていたことが分かった。労働における安全性はおろか動物のように扱われたとの感触を受けた」と述べた。
また床井弁護士は、栃木調査団が収集した資料に基づいて来年3月を目標に、この問題に決着をつけるよう検討するとしながら、今回のケースが強制連行における謝罪と名誉回復、補償という解決策の重要な契機を与える意義深い調査となったと強調した。