米・南の新戦争計画/24時間以内に38度線突破、平壌侵攻狙う
本紙既報のように、朝鮮人民軍総参謀部は2日、スポークスマン声明を通じて「共和国を軍事的に抹殺しようとする侵略企図が危険ラインを超えている」と指摘。米軍部が最近、「新たな戦争計画を完成」した事実について言及したが、その内容が12月3日号の香港誌「ファー・イースタン・エコノミック・レビュー」(以下「レビュー」と略)の記事によって明らかになった。92年秋に明らかになった「5027作戦計画」を「軍事作戦」として完成させもので、米国の対共和国軍事攻撃態勢が完備されていることを見せつけている。(基)
日本の参戦が前提/不可欠の兵たん支援
「対話はソフトに…、しかし、その背後には大きな鞭が」と題する「レビュー」誌の記事によると、「完成された軍事作戦」は、92年10月の第24回「米韓年例安保協議会」後にその一部が公表された米・南朝鮮軍の「5027作戦計画」に再検討を加え、細部化したものである。
「5027」は、@兵力の迅速展開A「南侵」阻止、北後方の破壊B主要戦力の破壊、大規模上陸作戦C平壌の孤立化、占領地域の軍事統治D終戦、南朝鮮主導の統一、の5段階からなる。
今回の「軍事作戦」は、その段階をそのまま踏襲しながらもA、B、Cの部分を修正、さらに具体化し、それぞれの軍事攻撃目標を担当する兵力を明記したという点において、まさに「完成品」なのである。
巡航ミサイルで砲兵軍団攻撃
まず、「軍事作戦」が発動されると、米本土、南朝鮮、日本の米軍、そして南朝鮮軍(陸・海・空・海兵隊の4軍)を迅速展開(第1段階)。
それから24時間以内に、沖縄・嘉手納、グアム基地のB1、B52爆撃機、横須賀を母港とする第7艦隊空母キティーホークの航空兵力、朝鮮海域で活動する原子力潜水艦の巡航ミサイルで軍事境界線中央部に位置する朝鮮人民軍砲兵軍団に対するいっせい攻撃を開始する(第2段階)。
朝鮮人民軍の反撃能力(砲兵軍団)を無力化させた後、軍事境界線に配備された米・南朝鮮軍が全線で突破し、平壌に向け侵攻する(第3段階)。
次に、沖縄、山口・岩国に駐留する在日米海兵隊が朝鮮東海岸の元山、西海岸の南浦に対する上陸作戦を展開(第4段階)、平壌を占領し社会主義体制を破壊して南朝鮮統制下での体制の「再組織」を実施する(第5段階)。=別表・図参照
新ガイドライン関連法案の制定促す
「ソウル、ワシントン、ハワイにある米太平洋軍指令部幹部たち」が明らかにした「戦争のための新たな計画」(「レビュー」)は、日本の参加が前提となっている。つまり、「ワシントンに対する兵站的な支援を供給することを東京に求めるという、新しい米日防衛協力指針(ガイドライン)の強さを試すもの」(「レビュー」)なのだ。
クリントン米大統領が11月に訪日した際、小渕首相に港湾、空港、医療など戦争遂行に不可欠な民間施設の強制収用などを柱とした新ガイドラインの関連法案の早期制定を促し、小渕首相があうんの呼吸でそのことを約束したのは、決して偶然ではない。「戦争のための新たな計画」が両者の頭の中にあったのだ。
そして、時同じく11月初から中旬にかけて「新たな計画」に投入されるB1爆撃機、空母キティーホークなどが参加して、米・南朝鮮合同軍事演習98フォール・イーグル、米日統合演習キーン・ソード99が朝鮮半島周辺海域で実施された。
まさに、米・南朝鮮、日本による対共和国軍事攻撃態勢は、発動直前にある。
完成、承認された「5027作戦」
●第1段階
迅速展開
・投入部隊
米本土、南朝鮮、日本の米軍、南朝鮮軍
●第2段階
迅速展開から24時間以内に軍事境界線中央部に位置する朝鮮人民軍砲兵軍団への攻撃
・投入部隊
沖縄・嘉手納、米グアム基地のB1、B52核積載爆撃機、横須賀の空母キティーホークの航空兵力、朝鮮海域の原子力潜水艦搭載の巡航ミサイル
●第3段階
全軍事境界線で攻撃開始、平壌に向け進攻
・投入部隊
軍事境界線一帯配備の米軍と南朝鮮軍
●第4段階
南浦、元山に対する上陸作戦
・投入部隊
沖縄、岩国に駐留する在日米海兵隊
●第5段階
平壌占領(朝鮮人民軍撃滅、社会主義体制の破壊)、南朝鮮統制下での体制の「再組織」
(注)新ガイドラインに基づく日本自衛隊の参戦、日本政府による基地、食糧、弾薬、医療などの兵站部門支援が作戦遂行の前提。(「ファー・イースタン・エコノミック・レビュー」98年12月3日号から)