98共和国――経済動向/各担当者に聞く(5)金属
チョン・スンフン金属工業部副部長
増産と質向上に務める/北部地区に重点、準備も整う
1ヶ月12万トンが目標
金属工業部は、鉄鉱石の採掘から製鉄、さらには関連する貿易まで、鉄に関するすべてを担当している。
共同社説は金属工業部門の課題について、鉄鋼材生産を伸ばすことだと指摘した。
金正日総書記は昨年6月22日、鉄鋼材生産を経済復興の中心課題として力強く推進していくための重要な指針を示した。指針では、1ヵ月に12万トンという具体的な生産目標と、これに沿って質も高める方向が提示された。新年に際し発表された共同社説には、こうした総書記の意図が反映されている。
われわれは6月22日の指針を受けて以来、これに沿って増産と質向上のためのたたかいを繰り広げてきた。
とくに北部地方に重点を置いている。同地区の咸鏡北道には共和国最大の鉄鋼産地、茂山鉱山連合企業所と4大製鉄基地の1つである金策製鉄連合企業所がある。茂山で取れた鉄鉱石を金策で製鉄するのだ。
常に40〜50人の金属工業部の活動家が現地に赴き、労働者たちと寝食をともにしている。
コスト下げる努力
基幹産業の中でも、金属工業は最も外貨を必要とする産業の1つだ。溶鉱炉に使うコークス炭、過熱用重油などは輸入に頼らざるを得ない。水害の影響や資本主義諸国の圧殺政策による外貨不足により、とくに昨年までの3年間は金属工業を本来の軌道に乗せられなかった。
しかし、内部予備を効果的に動員するなどの努力の結果、今年に入り、金策製鉄連合企業所を軌道に乗せることのできる原料、資材が蓄積された。
金策のほかにも、主要工場として城津、千里馬、黄海の各製鋼・製鉄連合企業所があるが、すべての工場で生産コストを下げる努力を重ねている。つまり、少ない原料で多くの製品を生産するための技術改革を急いでいるわけだ。
一方で、質を向上させるための技術開発にも力を入れており、例えば金策では最新の真空精練炉を開発し、96年10月から操業を始めた。
必要な外貨を得るために鉄鋼材の輸出にも力を入れており、主に金策で生産した鉄鋼板、四角管、銑鉄などをインド、タイ、シンガポール、中国などに輸出している。現在、輸出製品の種類を増やすために努力しており、機械工業部と連携して機械を製造し、輸出する計画もある。
鉄問題解決してこそ
経済復興のためには、基幹産業を立て直すことが重要だ。とくにわれわれ金属部門が先頭に立って引っ張っていかねばならない。なぜなら、鉄道を走らせる機関車の線路も、電気を起こす発電所も、それを回すための石炭を掘る機械も、すべて鉄でできており、鉄の問題を解決してこそ一連の問題を解決できる。
われわれが持てる潜在力をすべて発揮すれば、生産する鉄鋼材の60〜70%を輸出に回しても国内需要を十分に満たすことができる。建国以来、重工業に力を入れてきた共和国の金属工業部門には確固とした土台がある。ただ過去3年間、外的要因による数々の制約があったために本来の軌道に乗せられなかった。しかし今年は、潜在力を生かすための準備が整いつつある。
こうした状況を生かすためには、われわれ活動家が「私に続いて前へ!」というスローガン通りに現場に入り、先頭に立って現場の労働者たちを引っ張って行かなくてはならない。
当面して3月までは6月22日の指針貫徹を目指し、その後もさらなる鉄鋼材の増産と質の向上に努めたい。(平壌発=本社韓東賢)