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時事・解説//南朝鮮労使政合意が意味するもの


整理解雇制で失業者激増も/労組の政治活動可能に

 南朝鮮の金融危機対策協議機関、労使政委員会の合意案がう余曲折の末、6日に発表された。今回の合意が意味するものは何か。現状をまとめてみた。(根)

 

経済構造調性の一環

 国際通貨基金(IMF)は南朝鮮への融資条件として経済の構造改革、中でも雇用調整による企業のスリム化を強く求めた。外国企業による南朝鮮企業のM&A(合併・買収)促進を念頭に置いたものだ。しかし労組側は、雇用不安拡大につながるとして、導入に反対してきた。そこで、この問題を討議するため、当事者の労使双方と政府・政党の代表15人が1月に結成したのが労使政委だ。

 労使政委では一時、労組側がゼネストも辞さない構えを見せたが、結局は双方が歩み寄り、合意にこぎつけた。合意案には労組の政治活動認可が盛り込まれ、労働者の権利が大幅に拡大する半面、整理解雇制の導入、勤労者派遣制の対象業務拡大でも合意した。

 

全教組も合法労組に

 労組の政治活動認可を勝ち得た意義は大きい。

 労働者への虐待に抗議し、1970年11月に焼身自殺した全泰壱青年の訴えに端を発した南朝鮮労働者のたたかいは、民主化運動と直結して着実に成長してきた。87年の6月民主化抗争を機に民主労組の設立機運は高まり、90年に全国労働組合協議会(全労協)、95年11月には全国民主労働組合総連盟(民主労総)が結成された。民主労総は96年12月の労働法改悪反対闘争を力強く行い、「大統領」選挙にも単独候補を擁立した。

 今後は労組が独自に政党を結成し、労働者の声を政策に直接反映できる。早ければ6月4日予定の地方選挙にも参加する態勢が整う。また、公務員の団結権、教員労組の合法化も認められ、総数約90万人の公務員、44万人の教員が網羅されることとなる。

 89年5月に結成された全国教職員労働組合(全教組)は、教育の民主化、祖国統一に向けた教育の実現を求めてきた。当時の盧泰愚「政権」は非合法団体として厳しく弾圧したが、その中でも多くの支持を得、合法化を目指したたかってきた。99年7月からは念願の合法労組となる。

 

労働状況は一層悪化

 一方、整理解雇制導入で発生する失業者数は100万人とも150万人とも言われ、昨年12月に史上最悪の3.1%に達した失業率も一層の悪化が予想される。

 整理解雇制は、企業側が「経営上の都合」で従業員を合法的に解雇できるもの。今回の合意では企業のM&Aにも整理解雇制の適用が認められるため、M&Aの過程で大量の失業者が発生する可能性が高い。救済策の1つとして、企業が再雇用の際に整理解雇者を優先採用するリコール制の導入が決まったが、そうなると新卒者の就職に支障が及ぶ。

 他社に労働者を派遣できる勤労者派遣制も、労働時間や賃金など労働状況の悪化を招く恐れがある。民主労総は合意案発表以後も、これらの制度導入には断固反対の立場を変えていない。