長野五輪それぞれ/ショートトラックの元共和国代表選手 金昌煥さん
93年度まで共和国代表選手として国際大会で活躍。86年、神奈川朝高卒業後に共和国を訪れショートトラックの基礎を伝えたが、今回は長野で頑張る「後輩」を激励しようと、代表当時のチームジャンパーを着て駆けつけた。
「自分が伝えたショートトラックで、祖国の選手が世界トップレベルの強豪と競い合えることが嬉しい」
91〜93年、祖国でトレーニングを積んだ。現役のファン・オクシル選手らと共にアルベールビル五輪や世界選手権、アジア大会で活躍。国内大会でもつねに優勝するなど、名実共にチームリーダーとして共和国のショートトラック界を引っ張ってきた。
ユニバーシアード(ポーランド)で4つのメダルを獲得した時、平壌新聞に「在日同胞」ではなく「共和国の金昌煥選手」と紹介されたことが「一番嬉しかった」。代表としての八年間に、朝鮮人としての自分を見つめ直す過程で祖国観が変わった。
「祖国の恩恵があるからこそ、こうして応援にも駆けつけた」
現役を退き、スケートを脱いで4年。リンクを滑る選手たちを見ながら、「長野で一緒に滑りたかったな」と、フッと思った。その夢はもう叶わないが、「後に続く後輩たちが、1つでもメダルを取ってくれれば嬉しい」(道)