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視点


 「金大中拉致事件」と言っても若い人にはピンと来ないだろう。20数年も前の話だからだ。

 73年8月8日、都内のホテル・グランドパレスから白昼、拉致され殺されかけた事件だ。これが「韓国中央情報部」(KCIA=現「国家安全企画部」)の組織的犯行だったことが極秘内部文書で判明した。金大中次期「大統領」就任を1週間後に控え、19日付東亜日報が報じた。

 KCIAは対北謀略と統一・民主化運動を弾圧してきた。当時、拉致されたホテルの部屋には「北朝鮮製のタバコ」が落ちていたとの報道もあった。「北の犯行」に見せ掛ける偽装工作だった。

 KCIAはその後、「国家安全企画部」に改編されたが、対北謀略と民主化弾圧の策動はかえって強化された。また南北対話の場でも様々な破壊・妨害工作をしてきた。

 安企部をそのまま存続させては統一や南北対話・交流について語れないと18日、平壌で開かれた共和国の政党・団体連合会議は南朝鮮への手紙で主張した。

 「政権」が変わっても政策が変わらなければ無意味だ。5年前、軍事独裁から文民独裁に変わったが、外勢依存と反北対決の政策でかえって経済は破局、南北関係は最悪状態に陥った。明日、25日に発足する金大中「政権」がどう対応するのか注目される。(喜)