金正日総書記誕生56周年「2月の芸術の夕べ」、1,600人が鑑賞
金正日総書記誕生56周年を祝う「2月の芸術の夕べ―日・朝の新しい明日を願って―」(主催=同実行委員会、協賛=日本・朝鮮文化交流協会、在日本朝鮮文学芸術家同盟)が24日、東京・新宿文化センターホールで行われ、総聯中央の許宗萬責任副議長と各副議長、朝・日両実行委メンバー、在日同胞、日本市民、駐日外国公館員など約1600人が客席を埋めた。15回目の今回は、共和国功勲俳優の李栄守(金剛山歌劇団歌手)と姜春美(東京朝鮮歌舞団歌手)、演歌歌手の島倉千代子と角川博の四氏が出演。朝・日友好と朝鮮統一への願いを込めて熱唱した。
「心が通じ合えた」出演者も満足感
朝鮮歌謡「明日に向かって」で華々しく幕は上がった。のっけからの大音響とカクテルライトに、観客の緊張は瞬時にほぐれた。
鮮やかなライトグリーンのチマ・チョゴリで登場した姜さんは、総書記と祖国への思いを込めた「陽を仰ぐ花」、「雪が降るのに」を、しっとりと情感を込めて聞かせた。アップテンポな3曲目「統一の虹」を振りや手拍子を交えて歌うと、会場も手拍子で返し、舞台と客席が一体となった。
全身金色の派手な衣装で角川さんが現れると、会場はどっと沸いた。「女のきもち」や「伊豆の雨」などのヒット曲を歌ったが、何より観客の心をつかんだのは軽妙でウィットに富んだトーク。覚えたての朝鮮語を披露したが、「クァーセアンニョンハシムニカ」(明けましておめでとう)など季節外れのあいさつは爆笑を誘った。「あなたといっしょ」を見事な朝鮮語で歌い上げると、同胞からは歓声が上がった。
休憩をはさんで李さんが登場。圧倒的な声量、幅広い声域で観客を魅了した。「フンタリョン」、「舟歌」、「江原道アリラン」の民謡3曲を歌いながらステージを降り、最前列の観客に握手をすると、思わず黄色い声が上がった。
しんがりは緑色の振り袖に身を包んだ島倉さん。「からたち日記」、「東京だヨおっ母さん」など懐かしの名曲を次々と披露し、今年還暦を迎えるとは思えない艶のあるステージで観客を引き込んだ。「春の日告げる花になりたい」を朝鮮語で、汗を拭いながら歌う姿に「お千代さん」コールも上がった。「人生いろいろ」ではペンライトも振られ、盛り上がりは最高潮に達した。
全出演者による恒例の曲「愛の絆」で、公演は拍手喝さいの中で幕を閉じた。
観客も絶賛「今後も続けて欲しい」
公演後、出演者の表情は満足感にあふれていた。
島倉さんは「このような大舞台で歌えたことを名誉に思う。歌に国境はない、同じ人間同士、心は通じ合えると実感した」と述べ、今後も機会があれば朝鮮の名曲を歌い、朝鮮についてももっと知りたいと語った。角川さんも「日朝友好に微力ながら協力できた。歌を通じて心を結べば、道は必ず開けると確信する」と述べた。
李さんは「公演が進むにつれ、日本の芸術人や観客が朝・日友好への思い、朝鮮への理解を深めていくのを肌で感じた」と語り、姜さんも「日本で同胞の文化芸術を花咲かせるには、同胞と日本市民が心を通わせ、協力し合うことが大切だと実感した」と語った。
飄々とした語り口と絶妙の掛け合いで客席を沸かせた司会の宇田川公義さんは「歌で朝・日が一つになったようだ。忌憚なく接して理解し合えば、もっと良い関係になる」と強調した。
鑑賞した主婦の清水静子さん(横浜市、50)は、「島倉さんの歌が聞きたくて来たが、朝鮮の歌手も水準が高い。歌詞は分からないが、とても耳に馴染んだ」と語り、ピアニストの金貞淑さん(東京都練馬区、40)も、同胞が喜ぶ大衆音楽を聞けるこういう企画を続けてほしいと語った。