南朝鮮整理解雇制/撤回求める声高まる
南朝鮮「国会」本会議を2月14日に通過した経済構造改革法案に対し、被雇用者である労働者から抗議の声が高まっている。
抗議の焼身自殺も
法案は金融危機対策協議機関である労使政委員会の合意に基づいたもので、中核となるのは整理解雇制の導入だ。整理解雇制は「経営上の理由」による企業の労働者解雇を認めるものだが、経営難の場合に限らず、M&A(合併・買収)の際の人員調整も制度適用の対象となるうえ、すべての業種を適用の対象とすると定められている。
全国民主労働組合総連盟(民主労総)をはじめ、一貫して導入に抗議してきた労組側は、「苦痛分担」をうたいながらも労働者のみが一方的な苦痛を強いられるとして、導入撤回か大幅な改正を強く求めている。
民主労総は、ゼネストもやむなしとの姿勢を今も崩していない。2月12日には傘下の労組員約400人がソウル・汝矣島で抗議集会を開いた。13日の中央委員会では、「財閥総帥退陣・財産返納要求汎国民署名運動」を行い、金融危機を招いた責任を労働者に転嫁する当局と財閥企業の責任を追及していくことを決議した。
慶尚南道の巨済島では13日、大宇造船所に勤める41歳の男性労働者が、同社の労組員にあてたビラをまいた後、焼身自殺した。ビラには「合意案が立法化されれば労働者はみな死んでしまう。整理解雇などの雇用調整に反対し、民主労総のゼネストに参加しよう」と書かれていた。これを受け、民主労総は近く追悼式を行うことを明らかにした。
世論の過半数が「反対」
南朝鮮統計庁が2月12日に発表した「1997年度雇用動向」によると、昨年末の時点で約56万人だった失業者総数は、今年1月末現在で約70万人。上半期中に100万人を軽く超え、150万人に達するという指摘もある。
南朝鮮労働府の調べでは、1月に失業給与の申請を行った2万714人のうち、整理解雇による失業者が18.7%の3878人に達した。この数字は昨年度の1ヵ月平均の整理解雇による失業者数の約8倍に上る。
ハンギョレ新聞11日付の世論調査によると、整理解雇制の即時実施については55.1%と過半数が反対で、賛成の37.6%を大きく上回った。
今後も短期間に大量の失業者が生まれることは確実で、雇用不安の拡大に歯止めが利かない状態だ。