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第12回在日朝鮮中高級学校サッカー選手権大会


広島朝高が初優勝、中級部は大阪学区制選抜A

 金正日総書記誕生56周年記念第12回在日朝鮮中高級学校サッカー選手権大会(主催=在日本朝鮮青年同盟中央本部、在日本朝鮮人体育連合会、主管=在日本朝鮮人サッカー協会)が2月20〜22日、東京・世田谷区の駒沢オリンピック公園で開かれた。高級部部門に9チーム、中級部部門に朝高学区制選抜の9チームが参加。トーナメント形式で行われ、広島朝高と大阪朝高学区制選抜Aがそれぞれ優勝した。

 高級部部門決勝は、初優勝を目指す広島と3連覇を狙う大阪の対戦となった。

 広島は1回戦で愛知をPK戦の末3―2で破り、準決勝では、東京を破り勢いに乗る京都を1―0で退け決勝へ進んだ。対する大阪は1回戦で神奈川を1―0、準決勝で神戸を2―0で下し、順当に勝ち進んだ。

 試合開始10分、巧みなパスワークで攻め入る広島が、大阪の一瞬のすきをついて先制ゴール。大阪は個人技を中心とした攻めで挽回を計るが、広島の懸命なディフェンスの前にゴールを割れず、1点を守り切った広島が初優勝に輝いた。

 中級部部門決勝は大阪Aと東京の東西対決となった。東京は決勝までの2試合で10得点、大阪Aも9得点を上げるなど、ともに抜群の得点力。ゴールラッシュが予想された決勝で、先制したのは東京だった。しかし、焦りを見せない大阪は個人技と気迫で圧倒し、前半のうちに2点を返し逆転。後半、そのまま逃げ切るかと思われたが終了直前、東京が大阪の反則で得たPKを確実に決めて土壇場で同点に追いつく。決勝は延長(Vゴール方式)に持ち込まれたが、気迫で勝る大阪が前半にゴールを決め、優勝を勝ち取った。

 

新たな取り組み実を結ぶ/初中高一貫の指導システム

 日本学校に比べて選手人口が少ない条件の下、「少数精鋭」で「全国」を目指す朝鮮学校にとって、初級部から高級部までつながる指導システムを確立することはレベルアップを図る上で重要な取り組みと言える。

 すでに各朝高サッカー部では、学区管下の初・中級部の指導者と連携し、体系的な選手育成に取り組んでいる。そうした背景から、本大会では2年前から中級部部門を学区制選抜対抗に変えた。こうした取り組みの成果が「今大会の高級部部門で優勝し、中級部部門でもチームとしてまとまったプレーを見せた広島勢の活躍に表われている」(在日朝鮮蹴球団の梁相弘副団長)のは事実だ。

 しかし、初級部から朝高までを視野に入れた指導システム確立では広島、大阪など西日本地域に比べて東日本地域が遅れており、それは、高級部部門で関東勢が振るわなかったという結果に表れていた。

 また高級部では、日本の大会に出場する機会が増えたのに伴い、各チームが守備に力を入れるようになったことで得点力が低下する傾向も見られ、フォワード陣の強化が今後の課題となりそうだ。

 李副団長は「指導システムの『ピラミッド化』が完成してこそ、実力のある選手を育てることができる。こうしたシステムを確立して力を発揮している地域が、今後も優秀な選手を大量に育成できるだろう」と話していた。(春)