ここが知りたいQ&A/共和国が米国に朝米基本合意文の履行を求めたが
政治利用せず制裁緩和を/共和国は誠実に履行
Q 共和国外交部スポークスマンは6日の談話で、米国に朝米基本合意文の誠実な履行を求めたが。
A 合意の誠実な履行とは対北制裁緩和の実施、軽水炉建設の進展を意味する。94年10月に朝米が調印した基本合意文は、朝鮮戦争(50年6月)以来続いてきた両国間の敵対関係を終わらせ、政治・経済関係の正常化をうたったものだ。まず制裁緩和について言えば、合意文では「合意調印後3カ月以内に、貿易と投資の障壁を緩和する」と明記した。共和国は公約通り95年1月、米商品の搬入制限措置解除など米国に対する一切の経済障壁を撤廃した。米国も同月、通信に関する業務取り扱い許可など4項目の規制措置を緩和したが、これは一部にすぎなかった。
Q 米国はなぜ制裁緩和措置を講じないのか。
A 制裁緩和を対北交渉・圧力のカードとして利用しようとしているからだ。 例えば、ロード国務次官補は96年2月8日の講演で、「制裁を一段と緩和するタイミングと緩和の規模は、基本的にミサイル拡散、米兵の遺骨返還などわれわれの関心事項について、北朝鮮が建設的に取り組む意思があるかどうかにかかっている」と、他の問題と絡めて前提条件にしようとしている。これは明らかに合意違反である。
その後、米国は97年3月の朝米準高官会談で、「当面して米国の銀行にある共和国資産の凍結解除、米民間機の共和国領空通過許可を講じる」と共和国に通報してきた。だが、経済制裁は今も緩和されていない。
Q 軽水炉建設についてはどうなのか。
A 合意文では、共和国が黒鉛減速炉と諸関連施設を凍結する代償として、米国は2003年までに100万キロワットの軽水炉2基を提供し、その間の損失分として年間50万トンの重油を提供すると約束した。
共和国は合意文調印後、1カ月以内に義務づけられていた黒鉛減速炉の完全凍結を実施、96年3月からは核燃料棒の保管を開始した。1月に寧辺の関連施設を視察したカール・レビン米上院議員は、「燃料棒の処理はジュネーブ合意の通りに履行されている」と確認。クリントン米大統領も2月10日、議会に提出した覚書で、共和国が「使用済み燃料棒の密封、安全貯蔵など核関連開発凍結に関する米朝包括合意を履行している」と指摘し、4月1日までに核燃料棒の安全貯蔵が完了する見通しを明らかにした。共和国は合意義務を誠実に守っているのだ。
一方、軽水炉提供は、軽水炉の型の決定に手間取ったことと、96年9月の潜水艦事件の影響(南が「身辺の安全」を理由に技術者の派遣を拒否したこと)で、1年以上建設が遅れている。さらに朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)内の事情を理由に、未だに米、日、南などの費用の分担さえ決まっていない。重油問題についても、朝日新聞3月7日付はワシントン発の記事で、金桂寛外交部副部長が最近、納入を促す書簡を米国に送ったと報じた。
Q 米国に求められることは。
A 制裁緩和を政治カードに利用せず、同時行動原則を守って早急に緩和措置を講じ、合意文を誠実に履行して軽水炉建設、重油納入を責任を持って進めることだ。