共和国経済を読み解く/慈江道から全国へ(1)
共和国では今年を「社会主義強行軍の年」と位置づけ、経済問題を決定的に解決し、人民生活を向上させるため年初から奮闘している。共和国経済はどう進むのか。それを読み解くキーワードを解説する。
経済問題解決し生活向上/朝鮮式社会主義守る「最終勝利」へ
政治、軍事的に保証
労働新聞、朝鮮人民軍両紙の元旦の共同社説は、「われわれは『苦難の行軍』の困難な峠を成果裏に克服した」と指摘した。そして、労働新聞1月8日付は「最終勝利をめざす強行軍前へ!」のスローガンを打ち出し、今年の強行軍が社会主義経済建設で新たな飛躍をもたらすためのもので、その目的は経済問題を決定的に解決し人民生活を向上させることにあると強調した。
最終勝利とは「苦難の行軍」における最終勝利を指し、それは社会主義体制を守り、維持できる保証が整うようにすることだ。」
共和国は1980年代末以降、@ソ連、東欧崩壊による社会主義市場の喪失 A米国を中心とする国際的な共和国抹殺策動 B95〜97年と3年続いた自然災害――によって、かつてない困難下で社会主義建設の推進を余儀なくされた。とくに、94年7月8日には金日成主席の逝去という最大の悲しみに見舞われた。
度重なる逆境の中で、96年の共同社説は、@領袖擁護 A自力更生 B難関克服 C楽観主義を内容とする「苦難の行軍」精神で奮闘するよう呼びかけてきた。
この間、困難と試練に打ち勝てず一部脱落者や堕落者も現れ、内部瓦解を狙う南の安企部などの策動もあったが、朝鮮人民が金正日総書記の周りに一心団結することで、「朝鮮革命の隊列は政治思想的に鍛練され、より純潔さを増した」(共同社説)。総書記は社会主義体制の瓦解を狙う圧力に対応できる国防力強化に尽力した。それは軍部隊への頻繁な視察に表れている。その結果、共和国は「社会主義をしっかりと固守できる政治思想的基礎と軍事力を整えた」(労働新聞2月16日付社説)。
社会主義建設を推し進めるためには政治的力量と主体を強固に築くとともに、経済力と軍事力を整えなければならないが、「苦難の行軍」の過程で社会主義体制を守りうる政治的力量と軍事力は保証された。したがって、朝鮮式社会主義を固守するためのカギは経済問題の解決にかかっていると言える。
江界精神を支柱に
経済問題の解決とは、具体的には、生産の正常化と食糧供給問題の解決だ。
中でも今年は電力問題の解決に最も力を入れている。現在、共和国経済が極めて困難な原因は、エネルギー不足で工場がフル稼働せず、生産を正常化できないところにある。したがって、「今日の強行軍で最終勝利を達成するのも、…朝鮮式社会主義を固く守るのも、電力問題をいかに解決するかに大きくかかっている」(労働新聞1月27日付)。
そのために年初から呼びかけているのが、自力更生の精神を発揮して1万キロワット以下の中小型発電所を建設すること。95年の大水害で鉱山が浸水したため、火力発電用の石炭が足りず、外貨不足で原油の輸入も減少しており、独自の力で電力を解決することが求められているが、中小型発電所だと @労力と資材、資金が少なくてすむ A短期間で建設できる B少ないコストで電力を生産できる――などの利点から、比較的容易に建設できる。
ここで模範となったのが慈江道だ。1月16〜21日に慈江道を現地指導した総書記は、道の人々が自力更生の精神で多くの発電所を建設したことを高く評価、「全国が慈江道に従って社会主義強行軍を力強く繰り広げ、勝利の旗をなびかせるようにしなければならない」と語った。
この過程で生まれた江界精神は今日の強行軍精神として、経済建設を推進する支柱となっている。(聖)