大阪、兵庫、京都で活発な「生活相談」
総聯は97年9月、中央委員会第17期第4回会議で、支部などに同胞たちの生活相談を受けるシステムをつくる方針を打ち出した。この方針は今、「100日間運動」が活発に展開されている中、総聯組織が同胞の中にいっそう深く根を下ろしていくためにも重要なポイントと言える。「生活相談の日」を定期的に開催するなど、この活動に積極的な近畿地方各組織の取り組みを見た。(賢)
「頼れる組織」をめざす
総聯大阪・和泉泉州北支部で「無料法律・生活相談の日」が行われた15日、借地問題の相談に訪れた1世の同胞は帰り際、スタッフに「来て良かった。ありがとう」と何度も丁寧に礼を言っていた。大阪府同胞生活相談所(高錫浩所長)と府下の各総聯支部(持ち回り)が共催している生活相談は、この日で22回目。93年7月の第1回以来、相談件数は累計248件に達した。同胞や日本人の有資格者の協力を得ながら行っている。当初は数ヵ月に一度だったのが、96年からはほぼ月1回ペースになった。またこの間、相談に訪れた同胞からアンケートを集め、要望の多かった老人・医療問題に対応できるよう13回目から対策を立てた。いずれも「同胞らの生活により密着するには、相談の量、質ともに豊富かつ身近であるべき」(高所長)との考えからだ。
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同日夕、総聯兵庫・西神戸支部でも「同胞生活・法律無料相談」が行われた。
兵庫生活相談センターの趙富雄所長による説明会の形で行われ、テーマは立ち退き。震災復興区画整理事業が進む中、被災地の同胞にとって切実な問題だ。
土地や建物、借地貸家権、休廃業への補償などに関する要点をとらえた分かりやすい説明に、参加した11人の同胞らは真剣な面持ちで耳を傾けていた。中には細かくメモを取る人や「今度是非、家を直接見にきて」と申し出る人もいた。
今年、県下でこうした生活相談が行われたのは6回目。これまでは神戸や尼崎の各支部管下の分会で開かれてきた。参加者は計63人になったが、長田区の同胞だけで区画整理の対象が600戸以上、神戸市では千戸になると言われ、「需要」はまだまだあるはずだ。
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総聯京都の西南支部では専従活動家ながら司法書士の資格を持つ金徳男社会部長らを相談員に、昨年までの2年間、12回の「生活相談」を開いてきた。
次回は4月に行う予定だが、金社会部長は今「どうすれば支部での相談がより身近になれるか」について考えを巡らせている。
これまでの利用者は決して多くはなく、「生活相談」が組織の枠を越えて広く活用されるには至っていないと感じているためだ。同様の言葉は、大阪や兵庫の担当者からも聞かれた。
総聯が地域での生活相談事業を軌道に乗せるには、大きくは
@必要な人材・機能をどうそろえるか
A同胞の利用促進をどう図るか――の2点が課題だが、同胞の組織観がからむ後者の方が、より複雑なようだ。
乗り越えるには「とにかく続けること。難しい問題でも投げ出さず誠意をつくし、同胞に責任感を示すことが前提」だと、金社会部長は力説する。
また兵庫生活相談センターの趙所長は、決め手は「実績」と考えている。
昨年5月に開設した同センターは、年末までに160件の相談を解決。その後さらに、130件を受け付けたという。そして「今年は300件の解決が目標。そうした実績を前にしてこそ、同胞らは『頼れる総聯』のイメージを持つはずだ」(趙所長)。