朝鮮高校生が「全国」制覇/全国高等学校ボクシング選抜
朝鮮高校の生徒が初めて「全国」を制覇した。3月21〜24日に岩手県水沢市の水沢市総合体育館で開かれた第9回全国高等学校ボクシング選抜大会兼JOCジュニアオリンピックカップで、大阪朝高の白永鉄選手(フェザー級)が堂々の金メダルを獲得した。全国高等学校体育連盟(高体連)が1994年度から朝鮮高校の全国高校総合体育大会(高校総体)参加を認めてから今年で5年目。ボクシングではこれまで、2人の選手が全国大会の決勝まで進出したが、判定負けで銀メダル止まりだった。決勝戦挑戦3回目で成し遂げた快挙だけに、学校関係者だけでなく、全国の父母や在日同胞にも大きな感動と喜びを与えている。(高)
初の快挙/大阪朝高 白永鉄君(フェザー級)
選抜大会は都道府県大会の1位選手によって争われる東京、関東、近畿、九州など10の地方ブロック大会の各級(7階級)優勝者と開催地代表が参加する。
今大会には77人が出場、96年から参加が認められた朝高からは、昨秋の大阪府大会、近畿大会でそれぞれ優勝した白永鉄、東京都大会で優勝した東京の金舜寛(バンタム級)、黄賢進(フェザー級)の3選手が出場した。
試合はオリンピック同様3分3ラウンド(インターハイは2分3ラウンド)、トーナメント形式で行われた。
優勝した白選手は、1回戦で四国ブロック代表に第3ラウンド2分42秒でRSC(レフェリーストップコンテスト)勝ち、2回戦では東北ブロック代表に第1ラウンド2分24秒、3回戦では関東ブロック代表に第1ラウンド1分16秒で圧勝し、決勝に進んだ。
決勝戦の相手は開催地の岩手県代表。9分間をたたかい抜き、勝敗は判定に持ち越された。
「勝者…、青コーナー白永鉄選手」。レフェリーが白選手の手を挙げた。
その瞬間、応援に駆け付けていた同胞らの間から「よくやった」「朝高最高」などの歓声が沸き起こった。判定結果は5―0。5人の審判全員が白選手の勝利を認めたわけだ。
「今回の優勝に満足することなく、明日からインターハイめざし技術を高めるためいっそう練習に励みたいと思います」と、白選手は力強く語った。
「本当にうれしい。日本の人がやっと朝高の実力を認めた。苦しいことも多々あったが、日本の高校ボクシング界の頂点を極められて感無量」と、大阪朝高ボクシング部の梁学哲指導教員もうれしさを隠さない。 なお、東京朝高の金選手は1回戦、黄選手は2回戦でそれぞれ判定負けした。