sinboj_hedline.gif (1986 バイト)

「日弁連勧告を読む」/東京でシンポジウム


 シンポジウム「朝鮮学校差別を是正しよう―日本弁護士連合会(日弁連)勧告を読む」(主催=在日本朝鮮人・人権セミナー)が25日、東京・渋谷区の渋谷勤労福祉会館で行われ、朝鮮学校の父母と教員、総聯活動家や日本市民らが参加した。日弁連は2月20日、日本政府に対し、朝鮮学校をはじめ在日外国人学校が置かれている制度的な差別状況を是正するよう勧告、勧告書と調査報告書を提出したが、シンポでは、これらの作成に携わった3人の弁護士が発言。質疑応答では、勧告の次の段階として、調査報告書をもとに差別是正を求めていくための方法論が議論された。

 

民族教育は「神聖不可侵の権利」

 日弁連の報告書は、朝鮮学校をはじめ外国人学校が、学校教育法上の1条校に比べ、大学などの受験資格や公的な助成の額で著しい不利益を被っている現状は、外国人に対し間接的に日本の教育を押しつけ、民族文化の保持を妨げているとして、日本国憲法や各条約に照らして重大な人権侵害に当たると主張。@本国の基準 A日本学校と同等の内容 B国際的に公認された認定レベル――を満たす外国人学校に対しては、卒業生に日本の学校卒業生と同等の資格を認め、日本の公立学校以上の助成をすべきだと結論づけた。

 シンポジウムでは、日弁連人権擁護委員会の鈴木孝雄弁護士と矢花公平弁護士、同子供の人権と少年法に関する委員会の平湯真人弁護士が発言した。

 報告書の基本精神について鈴木弁護士は、自己の民族文化を継承、享受、発展させる権利、つまり教育する権利は根本的かつ普遍的、誰も奪うことのできない「神聖不可侵の権利」だと強調。日本に住む外国人の子供が自己の文化を学ぼうとすると、あらゆる面で制度的な差別が加えられ大きな不利益を被る現状は、結局、外国人の子供に日本の教育を強制しているものだとして、日本政府の姿勢を強く批判した。

 また日本の公立学校以上の助成をすべきだという点については、とくに朝鮮学校の場合、過去、植民地支配により朝鮮の民族文化を奪おうとした日本にはそれを回復する義務があるためだと説明した。

 さらに、こうした差別の是正は、在日外国人のみならず、それ以上に21世紀に向かって日本の国益に適うことであり、報告書は、常識的にも十分支持されうる内容だと強調した。

 質疑応答では、報告書を携えて市役所に要請した、学習会を開いた、など、各地での運動経験が披露され、具体的な意見交換、質疑が行き交った。またこの中で、日弁連としても勧告に止まるのではなく実現のための行動を続けていくことが明らかにされ、地方自治体での議会決議や日本政府への働きかけ、さらに朝鮮学校だけでなくすべての在日外国人学校の問題ということで、主権を持つ諸外国にも広くアピールしていくなどの方法が示された。

 シンポでの議論は、同胞たち自身が権利意識を高めていく必要性、現状を改善していくためのあらゆる方法をともに考え、効果的な運動をしていく重要性を提起していた。