ここが知りたいQ&A/共和国で生産が進む複合微生物肥料とは
有益な微生物、低コストで地力向上/在日同胞が工場建設に寄与
Q 最近、共和国の農業問題が語られる時に複合微生物肥料の話がよく持ち上がるが。
A 菌には有益な菌と有害な菌があるが、これは人体に有益な酵母や乳酸菌、放線菌、光合成細菌など80余種の土壌微生物を集めて混ぜ合わせた液体状の有機肥料だ。水で薄めて使うため、少量で広い地域に散布できる。アルカリ性の肥沃な土壌に変える特長を持ち、発酵堆肥を作るのにも使われる。
各地に建てられた複合微生物肥料工場では、生産や質を高めるための研究も活発になされている。
開城市・板門協同農場の複合微生物肥料工場では、肥料培養設備の消毒を短期間で終え、菌の培養拡大に取り組んでおり、温度管理をしっかりと行うことで培養拡大率を高めている。
同市・開豊協同農場の複合微生物肥料工場培養作業班では、原料配合と器材管理を徹底し生産工程を合理化させることで、肥料の質の高さを保っている。化学肥料や農薬に頼らない低コスト農法として、世界各国でも導入されている。
Q どのような成果が上がっているのか。
A 何よりも収量が増えた。2219ヘクタールの農耕地を所有する平壌・万景台国営農場では、96年から一部の農耕地で試験的に複合微生物肥料を使用した結果、以前まで1ヘクタール当たり年間40トン収穫高だった白菜畑で、2倍の80トンに増えた。キュウリは前年より50%増産した。平壌市・江南協同農場では、96年に一部の農地に200トンの複合微生物肥料を与えた結果、稲の収穫高が1ヘクタール当たり4〜5トンだった水田で400〜500キログラムずつ増加。野菜は25〜28%、トウモロコシは58%増産された。
Q ほかにもメリットはあるのか。
A 現在、共和国では少ない耕地面積でより高い生産量を保証するために、2毛作が奨励されているが、連作によって地力の低下を招く恐れがある。それを防ぐとともに、病虫害を予防し雑草の成育を抑える効果がある。これまで共和国では硫酸アンモニアと塩酸アンモニアを主原料とした化学肥料を主に使ってきた。そのため土壌の酸性化が進み、地力が低下しがちだった。しかし、土壌中の有機物を効果的に利用する複合微生物肥料を使うことによって、赤土の多い共和国の土壌が肥沃な土壌に変わりつつある。繰り返し使用することで、さらにやわらかくなり地力も向上した。
また、エネルギー不足と原料不足による工場の稼働率低下と、外貨不足による輸入量の急激な減少が化学肥料の絶対的な不足を招いているが、複合微生物肥料だと、外国から買い入れてこなくても国内にある原料で生産でき、燃料、動力も少なくて済む。
さらに、複合微生物肥料の混ざった飼料を食べた家畜はすくすくと育ち、質のいい肉が生産できる。
Q 現在、生産工場はどれほどあるのか。
A 総聯と女性同盟、在日商工人と科学者らの協力のもと、昨年までに全国の主要穀倉地帯に60余の複合微生物肥料工場と、複合微生物原菌を生産して全国の工場に供給する複合微生物センターが平壌市内に建設された。今月までには約100の工場が設けられた。
昨年、共和国では稲とトウモロコシ農地の半分に近い約50万ヘクタールの地に同肥料を撒いたが、今年は約100万ヘクタールの地に撒く計画だ。