大阪市内の朝鮮学校8校の父母ら200人集中要請始める
保護者補助の実施を/市に7月まで10回要請
民族教育大阪市対策委員会が保護者補助の実施など朝鮮学校の処遇改善を求め、市内に8校ある朝鮮学校の父母ら200人で要請団を結成し、大阪市に対する集中的な要請活動を開始した。4月30日、生野朝鮮初級学校の父母らで作る同校保護者会が市に要請したのを皮切りに、要請活動は7月まで10回にわたり行われる。
大阪市は88年から朝鮮学校に教育補助を実施しているが、少額のうえ保護者補助金は一切支給していない。対策委では91年から補助実施を強く求めており、4年間に15回、述べ185人が、市議会議員の同席のもと市に要請。朝鮮学校の処遇改善を求める署名も92年に21万人、96年に20万人分を集め世論を盛り上げた。
しかし市当局は「ほかの私立学校にも支給していない」「財政が緊張している」などとしながら、補助金支給を拒否してきた。対策委では、こうした市当局の態度に対して、各校の父母の声を直接反映させることにした。
この日、要請を行ったのは生野初級アボジ会の沈康二会長、オモニ会の金勝利会長ら父母と、近隣に住む日本市民、関係者ら計26人。総務局総務課の前田美樹子連絡係長、教育委員会学務課の萩純一郎連絡係長、紀之定朝由紀主査が応対した。
席上、17人の父母が発言。「日本政府が朝鮮学校を学校として認めていないことについて、2月の日本弁護士連合会(日弁連)の調査報告書も重大な人権侵害だと指摘している。市は政府の施策をうんぬんせず独自の判断を下すべき」「市は在日朝鮮人から税金を徴収しているが、その還元がまったくないため、朝鮮学校の父母は過重な教育費負担を強いられている」「大阪市は国際都市、オリンピック誘致都市というが足下の国際化はまったくなっていない。日本の市の中で最も朝鮮人が多いという点を見ても、川崎市、広島市のように保護者補助金を支給してほしい」などの内容で補助の実施を求めた。
これに対し市当局は「皆さんの意見を今後、施策を検討するうえでの貴重な資料にする」「200人の意見を聞くということで、内容はほとんど同じだと思っていたが違かった。皆さんの言葉にもっと真剣に耳を傾けたい」と答えた。
要請は今後も各学校単位で行う。日弁連の調査報告書や教育権利に関する学習会も開くことにしており、当面は14日に大阪第4初級で、20日に東大阪中級で、21日に中大阪初中でそれぞれ行う予定だ。