大阪同胞野遊会「アンニョンハセヨフェスティバル98」/「同胞社会のつながりを実感」
大阪で5年ぶりに行われた同胞野遊会「アンニョンハセヨフェスティバル98」(10日、大阪城公園)は、2万1000人が集まる盛況となった。太陽が顔をのぞかせたかと思うと小雨がパラつく気紛れな天気だったが、同胞らのはつらつとした表情が会場を明るくしていた。府商工会結成50周年を皆で祝い、同胞社会のつながりを実感する中で、複雑な情勢や不景気などといった日頃の湿った空気もしばし振り払い、明日への活力を得たようだ。(賢)
地域密着、1万5000戸訪問
この日、食べ物の模擬店を担当した府下の各朝鮮学校オモニ会のメンバーらは、山のような人だかりを相手に大忙しだった。
キムチや唐揚げなどを完売した大阪・福島初級オモニ会の金明美会長(35)は、「旧友と再会したり、同胞社会のつながりを実感できて楽しかった。組織や同胞を取り巻く状況がいいとは言えない中で、ここぞという時には皆が力を合わせる総聯の凄さを、久々に感じられた」と語る。
イベントは府商工会だけでなく、総聯府本部のリードのもとに各機関・団体が全力で準備に取り組んだ。26の地域商工会毎に推進委員会も構成され、総聯支部を中心に、地域の専従、非専従が一丸となって同胞家庭の訪問運動を展開。訪問世帯数は民団や組織に属さない同胞を含め、1万5000世帯に達した。
総聯生野南支部では、これまでつながりのなかった同胞も新たに探し出し、訪問件数は目標の1400世帯を超えた。
同支部では会館新築(今年1月)のために昨年春から建設運動を行い、同胞に協力を呼びかけて回ったが、その時の経験も今回の成果につながったようだ。
金相男文化部長(50・非専従)は、「同胞と何度も顔を合わせるうちに、話もしやすくなった」と話す。コミュニケーションを取るうちに、民団や組織に属さない同胞からは、「自分たちにはこうして集まる機会がないから、是非行って見たい」との反応があったという。
◇◇
総聯大港支部管下では、普段つながりのあった同胞の2倍にあたる、200世帯を訪問した。
非専従の同胞らが、自分の知人を訪ね、そこでまた紹介を受ける形で、つながりを広めた。
同支部管下に住む徐文三さん(49)も普段はこうした場に参加する機会はなかったが、誘いを受けて、自らも総聯の活動家といっしょに、知人に声をかけにいったという。当日は、「予想以上の盛況ぶりで、最高の1日だ。触れ合いの場を持てて本当に良かった。知人を誘ったかいもあった」と満足げだった。
この間に活動が活気づいたという同支部南恩加島分会の金鎬三分会長(51)は、「この数年、総聯が打ち出してきた地域密着の運動方針が、ここへ来て芽を出しているのでは」と指摘する。この間につかんだポイントを次のように整理してくれた。
「1つは1人ひとりの同胞を大事にしながら、つながりを広げること。帰化した同胞を訪ねてみたら『組織も懐かしい。これからもしょっちゅう誘って』と言われた。同胞を孤独にしないことが組織の役割だと思う。もう一つは、組織が絶えず存在感を示すこと。情勢が複雑なこんな時だからこそ、強いところを見せて初めて、同胞はついてくるのではないか」