時事・解説//「4・18書簡」の意味
統一への進路示す/民族大団結実現へ
金正日総書記は、4月20日に平壌で行われた南北連席会議50周年記念中央研究討論会に送った4月18日付書簡「全民族が大団結し、祖国の自主的平和統一を達成しよう」の中で、@民族自主の原則を堅持し A愛国愛族の旗印のもとに団結して B南北関係を改善し C外勢の支配と反統一勢力に反対してたたかい D全民族が互いに接触、対話を行って連帯・連合を強化する――という民族大団結5大方針を示した。書簡がこの時期に発表された意味などについて見た。(基)
「8・4著作」との関連
金正日総書記は、金日成主席の喪明け(7月8日)直後の昨年8月4日、統一問題と関連した著作「偉大な領袖金日成同志の祖国統一遺訓を徹底的に貫徹しよう」(以下「8・4著作」)を発表した。
主席の喪明け直後に発表された論文が統一問題に関するものであったことは注目に値する。当時、南朝鮮の「大統領」は金泳三だったが、各党の次期「大統領」候補が決まり、12月の投票日に向け事実上の選挙戦がスタートしていた。共和国側は、南北最高位級会談の日程も決まっていたにもかかわらず、主席の逝去に弔意すら示さず外勢依存政策に固執して南北対話を最悪の状態に追いやった金泳三とは対話をしない姿勢を貫いていた。こうしたことから考えると、「8・4著作」は次期「政権」の登場を見越したうえで発表されたものと言える。
今回の書簡は、南朝鮮で「政権」が交代した後に発表された。
2つの著作の相互関係を見ると、「8・4著作」が「祖国統一を実現するうえで提起されるすべての原則的問題を全面的に明らかにした」(昨年8月21日付労働新聞社説)ものならば、書簡は「民族大団結を実現することによって祖国統一を早く成し遂げられる道を全面的に明らかにした」(5月5日付労働新聞社説)ものである。
「8・4著作」では、祖国統一の3大憲章(自主、平和統一、民族大団結の祖国統一3大原則、祖国統一のための全民族大団結10大綱領、高麗民主連邦共和国創立方案)に基づき統一を実現することを強調している。書簡では、その実現のための民族大団結を実現するうえで提起される問題として、民族大団結5大方針を示している。
書簡で貫かれている内容は、民族大団結を実現するうえで重要なのは民族自主の原則を堅持していくということであり、それは「外勢の支配と隷属に反対し、民族の自主性を守るために民族が団結してたたかうこと」である。
言葉より実践重視
南朝鮮での「政権」交代後、北京では南北副部長級会談(4月11〜17日)が開かれた。3年9ヵ月ぶりの南北対話であった。
会談に先立ち4月6日に開かれた全民族大団結10大綱領発表5周年記念平壌市報告会で金容淳書記は、「南朝鮮で現在、政経分離の原則に沿って協力と交流を推進しようとの言葉もあるが、かりにそれが真実で祖国統一のための目的から出発したものならば、われわれは形式にこだわらず対処する」と共和国側の立場を明らかにしていた。
会談は南当局が肥料提供問題を提起してきたことと関連し、共和国側の提案で設けられた。しかし南側は離散家族面会所設置の時期の約束がなければ肥料提供はできないとの「相互主義」を掲げ、前提条件を示して政治問題化しようとした。
ちなみに共和国側は会談期間中、南側との非公式接触を通じて肥料提供問題が解決すれば、「離散家族問題、特使交換など全部の話ができる」(読売新聞4月18日付)と、肥料問題の解決に伴い対話を進展させていく用意があることを明確に示していた。離散家族問題はあくまでも赤十字団体同士で話し合われるべき問題だ。共和国では3月1日から社会安全部内に住所案内所を開設し、離散家族らの要請を解決するための措置を講じていた。
会談終了後、祖国平和統一委員会書記局スポークスマンは談話を発表、「南側が会談を通じて反北対決を追求した点で、金泳三『政権』時と少しも変わっていないことを示した」と指摘した。新「大統領」当選後の昨年12月19日付労働新聞が指摘したように、「100回の言葉よりも1回の実践の方が重要」なのである。
南朝鮮当局が今後どのように政策を転換するのか。総書記が示した民族大団結5大方針に対する対応が注視される。