南朝鮮労働者闘争の現状
「生存権死守を」整理解雇制,失業に拍車/当局の雇用政策に非難集中
整理解雇制による不当解雇や失業対策の不備に反対し、雇用安定を訴える南朝鮮労働者のたたかいが続いている。5月27、28の両日に全国民主労働組合総連盟(民主労総)が主催した第1次ゼネストには約12万人が参加した。大規模なリストラで労働者に一方的な犠牲を強いる半面、財閥改革は遅々として進んでおらず、金大中「政権」の名ばかりの「苦痛分担」に、労働者からは抗議の声が上がっている。(根)
締め付けられる生活
昨年来の通貨・金融危機で、南朝鮮では財閥経済のもろさが一気に露呈した。無節操なタコ足経営や過剰な外貨借入のツケは、韓宝から起亜に至る一連の大型倒産劇を生んだ。国際的信用の急落に伴い通貨ウォンも株価も暴落、そのあおりで企業が倒産する悪循環に陥り、国際通貨基金(IMF)への融資要請はもはや避けられなくなった。
IMF体制は市民生活をじわじわと締め付けている。昨年12月の融資合意を境に、ガソリン・灯油代はほぼ2倍、即席ラーメンなどの食料品代や薬代、バスの乗車賃は軒並み30〜70%も暴騰した。輸入に頼る砂糖や小麦粉は多くの店頭から姿を消した。
さらに、2月の整理解雇制導入が不況に拍車を掛け、4月末現在で失業率は6.7%、失業者数は143万人といずれも過去最悪を記録した。実質的失業者はすでに400万人に達したとも言われる。労働者のスローガンには「生存権死守」という言葉が目立ち、まさに「生きるか死ぬかの瀬戸際」に立たされた状態だ。
横行する不当解雇
民主労総は @整理解雇制の撤廃 A雇用安定の保障 B失業対策の実施 C財閥の解体 DIMFとの再協議――の「5大要求」を掲げ、労働者が置かれる不当な雇用状況に一貫して抗議している。しかし、世論には「経済再生のためには必要最低限の整理解雇はやむを得ないのではないか」という意見が少なくない。
経済再生にIMFの融資が必要なことは労働者サイドも承知している。まして単に「解雇するな」と訴えているのでもない。彼らが反対するのは整理解雇制に便乗した不当解雇であり、雇用対策が不十分な金大中「政権」の政策である。
金大中「大統領」はIMFの要求通り「改革」を推進するため、労組、企業、政府・政党による労使政委員会で雇用対策を協議した。整理解雇制の是非をめぐって曲折を経たが、労組側が「必要最低限の解雇」を受容する代わり、財閥改革も行うことで合意した。
ところがフタを開けると整理解雇制が一人歩きし、労組との協議なく一方的に解雇や賃金削減を行ったり、女性職員のみ解雇するなど、悪質な不当労働行為がまかり通った。一方、肝心の財閥改革は当の財閥側の反対に遭い、手付かずのままだ。
この理不尽さに労働者は反対しており、ゼネストでも不当解雇で労働者のみに犠牲を強いる状況を改善せよと訴えているのである。
2次ストは50万人規模
金大中「政権」は5月29日、李甲用・民主労総委員長ら143人を「不法ストの首謀者」として司法処理すると公言した。
これに対し、民主労総は30日、第一次ゼネストでの宣言通り、参与民主社会市民連帯など52の市民団体と共同で「第1回汎国民大会」を2500人の参加のもとに開き、整理解雇制撤廃を改めて訴えるなど、徹底抗戦の構えだ。
今月10日には第2次ゼネストが開催される見通しだ。民主労総が、金大中「政権」が発足させる第2期労使政委への不参加を明らかにしたためだ。民主労総は「前回協議での公約を履行していないのに『第2期労使政委のテーブルに着いてくれ』というのはあまりに不誠実」と述べ、全労働者が納得する改革を求めている。
ゼネストは50万人規模に達すると見られ、雇用問題解決の大きな転換点になるか、動向が注目される。