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総聯代表、国連で民族教育への差別是正を訴え


 5月18〜29日、スイス・ジュネーブの国連欧州本部で開かれた一連の会議を通じて、総聯の代表らは民族教育の権利、「従軍慰安婦」などの問題について、日本政府が国家的な責任を回避している事実を明らかにし、世界各国の政府と非政府組織(NGO)の間に支持と共感を呼び起こした。この間、団長を務めた在日本朝鮮教職員同盟中央本部の蔡鴻悦委員長と朝鮮人強制連行真相調査団、民族学校出身者の受験資格を求める全国連絡協議会の代表5人は、国連人権委員会の第23会期現代奴隷制作業部会、第4会期少数者作業部会、第18会期子どもの権利委員会で、積極的に活動した。

 

日本政府に非難の声

 26日の少数者作業部会で発言した総聯の代表らは、日本弁護士連合会(日弁連)が日本政府に対し、外国人学校への制度的差別を是正するよう勧告した意義について言及。民族教育の正当性と朝鮮学校の置かれた差別状況について知らせ、日本政府が朝鮮学校に対して学校教育法第1条校に準ずる処遇をするよう促すことを強く呼びかけた。

 発言を聞いた作業部会の委員から「大変深刻な問題だ」という声が聞かれるなど、在日朝鮮人の民族教育が置かれた差別的な状況に対する関心が集まった。

 また27日に開会した子どもの権利委員会では、日本の子どもの権利条約順守状況に関する初の審査が行われたが、最初の議題として在日朝鮮人の教育差別問題が取り上げられ、集中的に論議された。開会に先立ち、総聯代表らは日弁連の勧告と調査報告書、団長の発言原稿などを事前に提出した。

 委員の1人から「在日朝鮮人児童の人権は保障されていないのではないか」と質問された日本政府の代表は「日本人と同等の権利を保障している。希望すれば日本学校にも入ることができる」などと答え、責任を回避する不誠実な対応に終始。委員たちから「質問に対する回答が不十分」だと非難された。大学受験資格が認められていないことに対する異議を唱える委員、在日朝鮮人は教育費の負担が大きすぎるのではと憂慮する委員もいて、日本政府の差別政策に批判の声が集まった。委員会は近く、この論議をもとにした勧告を出す予定だ。

 子どもの権利条約は、締約国に在住するすべての外国人の子どもが自己の民族、自国の文化による教育を受ける権利を保障している。委員会が毎年批准国の権利保障状況を審査し、勧告などを出すが、94年に批准した日本の審査は今回が初めて。

 一方、代表らは29日には、「日本政府が民族学校卒業生の大学受験資格を認めないのは国際条約違反だ」とする通報を、国連教育科学文化機関(ユネスコ)に送付した。

 これは、「国家による組織的で重大な人権侵害」などについて被害者やNGOが直接訴え出る、ユネスコの個人通報制度にのっとったもの。受理された通報は委員会が非公開で審議し、「人権の促進を目的とした友好的解決のための措置を取る」ことなどが定められている。

 通報は、日本政府が敗戦後50余年が過ぎたこんにちまで、侵略戦争による被害者に対して植民地支配当時と本質的に変わらない差別同化政策を取り続けていると指摘し、ユネスコが、日本政府の民族教育差別を「重大な人権侵害」として慎重に審議するよう強く求めている。