視点
「人間が人間としてお互いを当然助け合っているのだという、そういう気持ちでやりたいと思ったのです」
イラク、セルビアなどへの援助活動を展開している国際市民ネットワーク代表の暉峻淑子さん(埼玉大名誉教授)は「世界」6月号でこう語っている。
深刻な食糧不足に苦しむ共和国に対し、世界食糧計画(WFP)を通じて米国などが支援を寄せたのをはじめ、中国、NGO(非政府組織)など、今も様々な国、機関から人道支援が寄せられている。
そんな中、京都府商工会が平壌・順安に、地力向上に有効な複合微生物肥料の工場を提供した。「肥料を生産して農産物を増産するのが食糧問題解決に効果的だと判断した」(伏見商工会の金東春副会長)からだ。
前述の暉峻さんもユーゴ支援の際、「相手の状況に応じて、…少し自立していけるような材料をこちらが提供して、別に援助に頼らなくてもこの家族はやっていけると思うと、そういう援助の仕方をしていった」という。
食糧や衣料などすぐに利用できる現物を支援することも、今の共和国にとっては必要だ。そのうえで、自力で農産物を生産していくために自助努力を行っている共和国の農業復興に向けた手助けを行うことが大切だ。
相手の状況に応じた、相手が本当に喜ぶ援助活動。それこそが、人間が人間として互いに助け合っていくことにつながるのではないか。 (聖)