sinboj_hedline.gif (1986 バイト)

時事・解説/南朝鮮統一地方選挙


「政治不信」に一層拍車/依然地域偏重も

 金大中「政権」発足後初の南朝鮮統一地方選挙は4日、投・開票が行われ、ソウル市長に高建前「総理」(国民会議)、京畿道知事に林昌烈前「副総理」(同)が当選するなど、連立与党の国民会議と自民連が過半数を得て野党ハンナラ党を下した。しかし、地域対立や中傷合戦が政治不信に拍車を掛け、投票率は史上最低を記録。金大中「政権」には厳しい結果となった。

 同選挙では「広域団体長」(主要七市長と9道知事)16人と「基礎団体長」(各市・道内の区長、庁長、郡長)232人、「広域議員」(各市・道議会議員)690人の計938人が一斉に決まる。投票日に発足満100日目を迎える金大中「政権」の「中間評価」(国民会議幹部)の意味合いが濃い。

 ところがフタを開けると、有権者の約半数は投票に行かなかった。52.6%という投票率は、昨年12月の「大統領」選挙の80.7%はおろか、前回の統一地方選挙(1995年6月27日)の68.4%も大きく下回る。

 有権者の政治への関心が高いと言われる南朝鮮でこのような数字が出た一因は、民心が政治よりも経済に向いていたことや、与野候補同士のネガティブキャンペーンに食傷気味だったことにもある。「だれが出馬するかも知らないし、関心もない」(大邱市の会社員)「選挙より物価が心配」(京畿道の主婦)「自己利潤のみを求める政治家に票を投じるのはもったいない」(仁川市の市民)など、民衆の声は辛辣だ。

 しかし、その裏には金大中「政権」に対する不信感、失望感が見られる。

 整理解雇制を適用して8000人余りを解雇する現代自動車をはじめ、南朝鮮では大規模なリストラや倒産ばかりが話題に上る。4月末現在で失業者総数は143万人だが、実質的失業者はその2倍とも3倍とも言われる。金融危機克服の兆しが一向に見えない現状で、物価の上昇が市民生活を圧迫し始めている。

 経済回復を唱えながらも実質的成果の伴わない金大中「政権」の経済政策に、「『国会』ではまじめに経済改革を論議しているとは思えない」(ソウルの貿易会社社長)など、民衆の不信感は募る一方だ。整理解雇制撤廃を求める全国民主労働組合総連盟のゼネストには12万人もの労働者が参加し、金大中「政権」を厳しく追及した。

 一方で、京畿、全羅、忠清、済州の西半分が与党、江原、慶尚の東半分が野党と、広域団体長は東西真っ二つとなり、「『大統領』選挙を機に固定化し始めた『与西野東』の東西地域分割現象がそのまま再現された」(東亜日報6日付)。国民会議=全羅道、自民連=忠清道、ハンナラ党=慶尚道と、各党党首の出身地などで支持政党が固定される極端な地域偏重は「3金時代」(金泳三、金大中、金鍾泌)の再現と言える。

 今後は、多数野党から少数与党への引き抜き工作も過熱すると見られ、「政界再編」に向けて予断を許さない状況が続く。 (根)