続・高麗青磁への誘い10選 申載天I/青磁象嵌立菊如意頭文皿
この作品は底が平らで、器壁は底面から周縁に向かって広がり、内側面の口辺には唐草文帯、その下の五方と内底中央には立菊文、その周囲を如意頭文帯をまわし、全て白象嵌である。
外側面には三方に白黒の立菊文を表し、器全体には澄んだ淡灰青緑色の釉薬がくまなくかかり美しい釉色を呈している。まことに愛らしい皿だ。
私たちの先祖は秋に咲く可憐な菊を好み、高麗青磁には菊が多く描かれた。
高麗の愛国的な詩人であり、また政治家でもあった白雲居士、李奎報(1168〜1241年)は菊を詠んだ数編の詩を残しているが、その中には次のような1編の詩がある。
「詠菊」
春風三月百花紅
不及秋天菊一叢
芳艶耐寒猶可愛
殷勤更入酒盃中
李奎報もまた菊を愛し、酒を愛した文化人であった。(12世紀、口径13.9センチ)