sinboj_hedline.gif (1986 バイト)

同胞音楽家(指揮者)の金洪才氏に渡邉曉雄音楽基金音楽賞


 同胞音楽家(指揮者)の金洪才氏が「渡邉曉雄音楽基金音楽賞」の第6回受賞者に選ばれ、18日、東京・港区のサントリーホールで授与式が行われた。

 同賞は、日本において指揮者に与えられる賞としては、斎藤秀雄賞とともに最も権威あるものとされる。金氏は79年に、斎藤秀雄賞も受賞している。

 今回の授賞理由として同基金は、「確実なバトンテクニックを基盤とした音楽表現は、現代作曲界の大家・尹伊桑氏にも非常に高く評価されており、今後の活躍が大きく期待されている」「地道ではあるが着実な演奏活動と音楽業績は、わが国の指揮界にとって大きな支え」などとしている。

 金氏は受賞に際し、「指揮者としてのキャリアはまだ少ない。これからは文化の発展への貢献を目指し、また賞の名に恥じないよう活動していきたい」「これまでも常に、在日朝鮮人としての自覚を持って歩んで来たが、今後も同じ気持ちで頑張る」などと語っている。

   ◇    ◇   

 金洪才氏は1954年生まれ。神戸朝鮮高級学校を卒業後、桐朋学園大学に進み、指揮者としての歩みを始めた。1978年3月にデビューし、79年9月の第14回東京国際指揮コンクールで第2位に入賞し、特別賞(斎藤秀雄賞)を受賞した。

 以後、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、名古屋フィルハーモニー交響楽団、京都市交響楽団の指揮者を歴任したほか、音楽番組の専属指揮者を務めて来た。東芝EMI、キングレコードなどからCDも出ている。

 89年から91年にかけては、ベルリンに滞在して作曲家・尹伊桑氏の下で研鑽を積んだ。帰日後、尹氏の作品多数を日本初演し、その指揮は尹氏から絶賛を受けた。

 92年9月にはニューヨーク・カーネギーホールでコリアンシンフォニーオーケストラを指揮し、米国デビューを成功で飾った。