「慰安婦・強制労働問題」公開報告会(東京)で真相調査団が報告
公開報告会「いま世界は慰安婦・強制労働問題をどう見ているのか?」(主催=日本軍慰安婦・強制労働国連NGO連絡会)が16日、東京・千代田区のシニア・ワーク東京で行われ、第23会期国連人権委員会現代奴隷制作業部会に参加した朝鮮人強制連行真相調査団(真相調査団)の洪祥進事務局長が報告した。
洪事務局長は、今作業部会で共和国代表が報告した内容に触れ、これまで多くの被害者の声を聞きながらも、日本政府は未だにアジア女性基金で責任を回避しようとしていると述べ、謝罪と賠償は法的責任に基づき行われるべきだと発言したことを紹介した。
また真相調査団は、日本は多くの戦争に関する資料を保存しながら、プライバシーの侵害を口実にほとんど非公開にしているが、法的責任を果たすという立場に立って資料を公開することを要求するとともに、この問題は日本が法的賠償の義務を果たすまで継続して討議されるべきだと述べた。
洪事務局長は、国連NGOのIFOR(国際融和会)も真相究明のための調査会立法とハーグの国際司法裁判所での解決を提案したこと、さらにこれらの発言に基づいて「従軍慰安婦」問題が、第24会期で継続審議することを決めたことなどを報告した。
【解説】
今作業部会では最初、ワルザジ議長が「従軍慰安婦」問題は「もう終わった」と発言するなど、次会期の案件から削除される動きがあった。
だが、「従軍慰安婦」問題は決して終わっていないとする共和国代表、真相調査団に続いて、IFOR(国際融和会)、日本のNGOなどの発言によって最終的には継続審議となった。
作業部会の委員は議長を入れて5人(モロッコ、米国、キューバ、日本、ルーマニア)で構成されている。今回作業部会の委員として日本の横田洋三・東大教授が加わったが、横田教授は以前、国民基金運営審議委員長をしており、「従軍慰安婦」問題の解決は国民基金以外にないと国連の場で発言し、国連決議に関係なく基金は進めるなどと言ってきた人物だ。また、日本の外務省は作業部会を前にワルザジ議長を日本に招いて説明会を開くなどした。
「従軍慰安婦」問題が国連の場で初めて討議された92年当時、日本政府の対応は、賠償問題は2国間条約で解決済みであり、この問題は国連創設以前の問題だから国連に扱う権限はない、などと主張してきた。しかし、日本政府のこれらの主張はことごとく拒否された。国際的な対面を傷つけられた日本政府は、今度は国家賠償を避ける方法として、被害者の生活苦に目をつけた民間基金を設置し、金銭での解決という手段を取ろうとした。被害者、支援団体は反対したが、日本政府の根回しや宣伝などで被害者、支援団体が分裂しているような印象を与える結果になった。そして今は、当初から国家責任と法的賠償を国連の場で絶えず主張してきた共和国を孤立させる策を取ろうとしている。
日本政府は以前、国連人権委員会の「従軍慰安婦」問題特別報告官に圧力を加えたばかりか、今回も公平であるべき委員への接待外交をし、部会に参加したNGOの反発をかっている。(嶺)