視点
「一度この山を見た人は死んでも地獄に落ちることはない」。昔の人はそう語ったという。この山とは金剛山のことだ。
古くから仏教の聖地とされた。3000余年前の仏典「華厳経」には「東海海中に金剛山あり、1万2000峰である」と書かれており、これが名称の由来とされる。ダイヤモンドにも似た美しさと気高さを兼ね備えた山々を、朝鮮の人々は金剛山と呼び、親しんできた。
山水画を得意とする李朝後期の天才画家崔北は、「とうとう死に場所をみつけた」との言葉を残して金剛山の九龍淵に身を投げたほど、その美しさにほれ込んでいたとされる。詩人たちの間でも常に創作の対象で、李朝末期の放浪詩人金笠は金剛山を詠んだ8篇の詩を残した。世界的名山としても古くから知れわたっており、宋時代のある詩人は「高麗に生まれて金剛山を一度見るのが願い」と謳っている。
これほどの名山、共和国の人々だけでなく、南の人や海外同胞、外国人らも観光に訪れたいところだろう。
訪北した現代グループ社と共和国の間で22日、金剛山開発事業などの経済協力に関する合意書が交わされた。鄭周永名誉会長は、「早ければ今秋にも観光事業に着手し、毎日1000人以上が遊覧船を利用(して観光)できるようにしたい」と語った。
喜ばしいニュースだ。民族の財産である金剛山に南の人々が頻繁に訪れるようになれば、民族団結へとつながり、統一を早めることになる。(聖)