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南朝鮮「国籍法」改定と在日同胞への影響―任京河@

主な改定点/父母両系血統主義へ


 父母両系血統主義を改定の柱とした南朝鮮の「改定国籍法」(以下、『改定法』)が昨年12月13日に公布され、今年6月14日から施行されている。

 在日同胞の国籍取得と喪失に関する実務には、国際法上、当然に朝鮮民主主義人民共和国(以下、共和国)国籍法が適用されるべきであるが、現在、不当にもすべて南朝鮮「国籍法」が強制的に適用されている。

 日本政府が共和国国籍法を一切無視し、外国人登録上の国籍欄の記載が「朝鮮」であっても「韓国」であっても関わりなく、すべて南朝鮮「国籍法」を適用する差別政策に固執しているゆがめられた現状のもとで、われわれは、今回の改定が在日同胞にいかなる影響を及ぼすかに注視する必要がある。

 そこで、「改定法」の内容とその背景、また在日同胞に影響を及ぼしうる問題点について見る。

   ◇    ◇

 まず、主な改定内容は以下の6点である。

 (1)従来は、子供の出生当時、父親が南朝鮮「国籍」を持っていたら、その子に南朝鮮「国籍」を付与する父系血統主義を採用してきた。

 これを、父または母の一方が南朝鮮「国籍」を持っていればその子に南朝鮮「国籍」を付与する父母両系血統主義へ転換した。

 (2)南朝鮮「国籍」を持つ者と結婚した外国人の妻に、その「国籍」を付与していた従来の制度を廃止した。

 その代わり、南朝鮮「国籍」を持つ者と結婚した外国人は結婚後、夫婦ともに2年以上南朝鮮内に居住することなど一定の要件を満たして法務部長官の「帰化許可」を受けることにより、南朝鮮「国籍」を取得できることとした。

 言い換えると、外国人妻だけでなく外国人夫にも南朝鮮「国籍」を付与することにする一方で、それを「申告制」から南朝鮮内居住という前提条件のついた「許可制」に変えた。

 (3)夫が南朝鮮「国籍」を取得すれば、妻も自動的にその「国籍」を取得する随伴取得条項と、妻が単独で「帰化」することを禁止していた条項を削除し、結婚した女性が単独で南朝鮮「国籍」を選択することを認めた。

 (4)父母両系血統主義の採用に伴い2重国籍になった者に、満22歳までの間に国籍を選択することを義務化した。

 つまり、父母の一方が外国人である場合、その子供は父母双方の国籍を持つ2重国籍者となるため、満22歳まで(2重国籍となったのが満20歳になった後であればその時から2年の間)の間に、どちらかの国籍を選択しなくてはならず、南朝鮮「国籍」を選択しなかった場合には、自動的に喪失することになった。

 (5)父母両系血統主義の採用に伴い、外国人の父と南朝鮮「国籍」を持つ母の間に生まれた子は、母の姓と本を継ぐことができ、母の「戸籍」へ入籍できるよう民法を一部修正した。

 (6)父母両系血統主義の採用に伴う経過措置として、「改定法」施行前10年間に南朝鮮「国籍」を持つ母から出生した者に、「新法」施行日(98年6月14日)から3年以内に法務部長官に申告することによって、南朝鮮「国籍」を取得できるようにした。(イム・ギョンハ=朝鮮大学校専任講師・民法、国際私法)