南朝鮮「国籍法」改定と在日同胞への影響―任京河B
問題点(上)/外国人登録上の国籍、統一表記を
(1)父母両系血統主義と「母系出生者のための経過措置」
「改定法」が父母両系血統主義を採用したことにより、在日朝鮮人女性が外国人男性と結婚した場合、生まれた子は母の国籍を取得できるようになった。
しかし問題は、「新法」施行前に在日朝鮮人女性から出生した子に国籍取得を認めた経過措置の対象期間が、施行前10年間という短い期間しか認められていない点だ。その規定によると、在日朝鮮人女性と日本人(外国人)男性の間に生まれた子で、今年6月14日の時点で満十歳を越えていない者は国籍を取得できるが、10歳を越えた者には経過措置が適用されず、国籍を取得できない。
これは、84年に日本が父母両系血統主義に移行した当時、同様の経過措置適用期間を20年としたことに比べてもかなり短い。国際結婚した在日朝鮮人の子女を同胞とみなさない排除の姿勢の表れと見られても仕方ないだろう。
(2)父母両系血統主義と外国人登録上の「国籍」
次に、父母の外国人登録上の国籍が、一方が「朝鮮」で他方が「韓国」の場合、子の国籍欄の記載がどうなるかが問題となる。この問題は「改定法」の問題と言うより、日本政府の外国人登録行政上の問題だ。
従来、日本の法務省は、在日朝鮮人夫婦の間で外国人登録上の国籍が違う場合、旧「南朝鮮国籍法」の父系血統主義規定に従い、父の国籍を基準に子の外国人登録国籍欄の記載を行っていた。つまり、父が「朝鮮」で母が「韓国」なら子の欄に「朝鮮」と、その反対なら「韓国」と書いた。この際、父母の意向は無視されていた。
筆者は、在日朝鮮人の外国人登録上の国籍表記はすべて当初どおり統一表記にすべきだと考えている。元来、「朝鮮」のみであった記載を「韓国」に書き替えることを認めた法務省は、自らの行政の過ちを率直に認め、職権を持って実行すべきではないだろうか。
外国人登録上の国籍欄の記載は本来、国籍そのものを示すのではなく、国籍に関する「表示」を意味する。したがって、同じ在日外国人でも、中国人の場合は中華人民共和国、台湾の出身を問わずすべて「中国」と記載している。在日朝鮮人の場合も表記を統一することが公明正大な行政だと言えよう。
(3)外国人妻に「国籍」を付与した制度の廃止
南朝鮮「政府」は、国籍取得を目的とした偽装結婚を防止するため、南朝鮮・「国籍」者の妻となった外国人女性に「国籍」を付与していた旧制度を削除した。外国人妻に南朝鮮「国籍」を付与する旧制度が、男女平等に反するというのも削除理由である。
しかしこの制度は、在日朝鮮人男性が日本人女性と結婚した場合、家族の国籍を統一したいがため
にやむをえず利用してきた緊急避難的手段でもあった。削除した理由がどうであれ、この方法が使えなくなったことに変わりない。
今後、在日朝鮮人と結婚する日本人(外国人)配偶者が南朝鮮「国籍」を取得するためには、南朝鮮内に2年間居住し、「帰化許可」を得なければならないが、これは現実的には不可能に等しい。すると、家族の国籍を統一したいと願う場合、在日朝鮮人の側が日本国籍に「帰化」する道しか残されない。
旧制度廃止の問題点は、在日同胞のこうした事情を考慮しておらず、日本国籍への「帰化」を助長する恐れがある。したがって、在日朝鮮人の配偶者に限っては、「改定法」の「居住要件」を絶対に課すべきではないと考える。(イム・ギョンハ=朝鮮大学校専任講師・民法、国際私法)