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総聯奈良県本部、来年の奈良朝鮮初中級学校創立30周年に向け活動


 来年、創立30周年を迎える奈良朝鮮初中級学校の発展に寄与する活動を18期の中心課題に据えた総聯奈良県本部では、県民族教育対策委員会(朴勉委員長=総聯県本部委員長)を中心に @教育の質向上 A園児、生徒数の増加 B学校運営の財源保障――に、全組織、同胞をあげて取り組んでいる。対策委の金鐘成事務局長(奈良初中校長)は「在日朝鮮人運動、同胞社会の要である民族教育をより発展させるためには、教育の質、量(生徒数)、財政のすべてに力を入れなければならない。またそうすることこそが対策委本来の役割だ」と話す。 (道)

 

ウリマルに力注ぐ

 奈良朝鮮初中級学校(橿原市)には2人の講師を含む16人の教員がいるが、経験の少ない若い教員がほとんどだ。同校ではこうした現状を踏まえ、教員らの資質を高め授業のレベルアップを図るために「授業診断」を実施している。全教員の授業をビデオに撮り、全員で観賞しながら意見を交わすというものだ。また学内で週1回研究会を開くほか、大阪府内の朝鮮学校教員を対象にした教育研修にも毎月参加している。

 漢字・英語の各検定試験を導入するなど、生徒の学力向上を図るための努力も重ねているが、中でもとくに力を入れているのが、民族性を養うために最も重要な要素である朝鮮語教育だ。学内にウリマル推進委員会を発足させ、しっかりした朝鮮語を学び、使う運動に取り組んでおり、毎朝、ホームルーム前の時間を利用して全教員、生徒が発音練習を行っている。

 一方、プールがない条件のもとでも学外の施設を利用して水泳教室を開くなど、子供たちの健康増進・体力向上にも努めている。

 

「体験保育」を実施

 付属幼稚園を持つ同校の生徒・園児数は合計65人。日本社会の少子化にともない生徒・児童数が減少する中、同校付属幼稚園では数年前から「1日体験保育」を行っている。

 「体験保育」は、翌春に入園を予定している子供と父母を対象に、毎年3学期に行われていたが、今年からはまだ入園を決めていない父母とその子供にも対象を広げ、各学期ごとに行うことにし、11日に第1回目を実施した。

 同校の教員はもちろん、総聯、女性同盟の活動家などがチームを組み、ほぼ毎日、戸別訪問して参加を呼びかけた結果、悪天候にもかかわらず目標を上回る11人の子供たちが参加。中には日本人のオモニもいたが、「体験保育」後に行われたオモニ会メンバーとの懇談会では、民族教育に深い理解を示していた。

 

要請、交流も活発

 対策委ではこの間、奈良県をはじめ生徒が在住する八市町を訪れ、日本政府に朝鮮学校差別是正を促した日弁連勧告と国連子どもの権利委員会勧告について説明するなど、処遇改善を求める要請活動を活発に行った。その結果、大淀町では来年度から助成を実施することを決定。臨時的な措置として今年度、20万円を支出した。

 今後は対策委と父母らで正式に要請団を結成し、8月中に県内の全市町村と三重県上野市に、補助金支給・増額を求める方針だ。

 各自治体や日本学校教員との交流も盛んで、6月13日には橿原市自治委員連合会と交流会を開いた。7月2日には室生村の日本学校教員ら15人が同校の授業を参観した。9月7日には桜井市の教員らを招いて公開授業を行う予定だ。

 一方、父母、卒業生、同胞らの間で、学校運営の財源確保への賛助者の幅を広げようと、1口1000円の「1000口運動」を展開。17日現在で約200口が集まった。9月までに500口集めるのが当面の目標だ。

 こうした活動に刺激を受けた1世のハルモニらが女性同盟本部と協力し、学校中央玄関の掲示板と下駄箱を新設するための募金運動を始めるなど、学校を守り、支える運動は地域で広がりを見せつつある。