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視点


 誰にも、子供の頃に慣れ親しんだ本があるものだ。どこへ行くにも、寝る時も、肌身離さずボロボロになるまで繰り返し読むうちに、愛着が増す。そしてその本が後の人生観形成に大きな影響を与えることもある。

 子供たちの間で活字離れが進んで久しい。テレビを観たり、ゲームをするのに忙しくて本を読む暇は段々なくなっている。そんな子供たちにとって、本に親しむ絶好の機会が夏休みだ。

 本紙21日付では、西東京朝鮮第2初中級学校図書委員の先生方に選んでもらった夏休みお薦めの本を紹介した。同校は図書室を効果的に活用するなど、子供たちの読書指導に日頃から力を入れていることで有名だ。

 初級部低学年図書委員の金明美先生が選んでくれた童話「しろいうさぎとくろいうさぎ」(福音館書店)を読んでみた。仲の良いうさぎ同士がいつも一緒にいたいので結婚するという話。その途中、黒いうさぎが楽しく遊んでいるのになぜ悲しいのだろう、と考え込む。そのシーンが何ページにもわたっていて、その間に様々な考えをめぐらすことが可能だ。

 うさぎはどうして悲しがっているのか、10人なら10人違う答えが返ってくるだろう。算数などと違い必ず一つの答えを導き出さねばならないわけではない。オモニやアボジがこの本を読んで聞かせながら、子供が答えをみつけるようにすることもできる。

 その過程で子供たちの想像力はふくらみ、思考も深まるだろう。(聖)