sinboj_hedline.gif (1986 バイト)

視点


 小渕政権発足早々、またもや閣僚の妄言が飛び出した。中川昭一農水相は就任後初の記者会見で「従軍慰安婦」問題を歴史的事実として教科書に載せることに疑問を呈していると発言。その後の会見で発言を撤回し、軍の関与を認めた河野官房長官(当時)の談話にも「拘束される」との立場を表明したことから、「何ら問題はない」(小渕首相)と政府としては責任を問わない方針だ。

 だが、中川氏の発言は降って湧いたわけではない。彼は昨年2月、「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」を結成、代表に就いた。当時、「許せないものがいくつもあるうちの象徴的なものが『従軍慰安婦』だ」(産経新聞97年3月22日付)と発言。河野長官の談話についても、「事実でない可能性が高いのに、政治、外交に翻ろうされている」「当時は強制連行の事実もないし、従軍慰安婦という言葉もなかった」(同上)と話していた。彼は確信犯。「中川氏は本音を語ったと見るべき」(朝日新聞1日付)だ。

 日本の植民地支配によって朝鮮人をはじめ多くの人々が強制連行され労働を強いられ、「慰安婦」にさせられたのは周知の事実だ。シンポジウム参加のため訪日した共和国在住の元「慰安婦」李京生さんも12歳の時に連行されたとはっきり証言している。閣僚の妄言はこれまでも繰り返され、その都度アジア諸国の糾弾を受けてきた。日本がこうした歴史認識に立つ限り、真の友好関係は築けない。(聖)