山形県議会議員連盟代表団の訪朝/農業技術支援で合意
日朝友好促進山形県議会議員連盟代表団が6〜11日、訪朝した。共和国側関係者との会談で、共和国の気候に適したコメ品種の種子の提供や農業視察団の受け入れなど、今後の継続的な交流で合意した。朝・日国交正常化の動きが停滞している中、地方レベルで、関係改善の道筋をつける努力が行われている。(賢)
元山―酒田に航路を
訪朝団は団長の伊藤耕治郎会長(自民)をはじめ日朝議連所属の議員と、酒田青年会議所などの関係者を含む10人。平壌や板門店などを視察し、朝・日友好親善協会の宋浩京会長、朝鮮対外文化連絡協会の文在哲委員長代理、農業科学研究院スタッフらと会談した。
話し合ったのは主に @山形県日朝議連が国交正常化促進で積極的な役割を果たす A元山港と酒田港を友誼港とし航路を結ぶ B漁業協力 C共和国への農業技術支援――の4点。このうち Cについては、北緯38―39度以北での耕作に適した多収獲のコメ品種の種子を共和国に提供し、10月に共和国が山形、宮城、北海道に技術者を派遣することで合意。現在、コメの品種選定と技術者受け入れの日程調節が行われている。
また酒田青年会議所では、自転車200台を共和国に送る準備を進めている。
視察団も受け入れ
話し合われた内容は、訪朝団側が積極的に提起したものだ。
農業技術支援の問題も、農業科学院スタッフとの会談を通じて訪朝団側が現状の深刻さを受け止め、協力する意向を示したところ、共和国側から視察団を派遣したい旨が伝えられた。また訪朝団側が酒田―元山間に航路と友誼港関係を結ぼうと提案したのに対し、共和国側から漁業に関する合弁会社設立などの話があったと言う。
10年ほど前に1度訪朝団を派遣して以来、共和国との接触はとくになかった同議連だが、今回の訪朝では多くの成果があった。
伊藤会長は、日中国交正常化以前から数え60回も訪中し、「山形発」の日中交流に尽力してきた。最近では、県内の庄内空港と中国・ハルピンとのチャーター便就航を実現させた。国交前から交流に取り組むのは「一般の人が行けない時に行き、大勢の人が行き来できるよう道筋を作るのが政治家の仕事」との立場からだ。そのためには単なる儀礼的な訪問に終わらせず、「具体的なことを有言実行することが絶対必要だ」と強調する。
信頼深める努力から
山形県の「食と緑を守る労農市民会議」の議長を務めながら、共和国への食糧支援に取り組んで来た議連幹事長の橋本喜久夫議員(社民)は、34年ぶりの訪朝。前回は朝鮮戦争後の復興に全力を傾ける共和国の人々の姿に学び、アジアの平和の道を探ることが目的だった。昔と今では交流の形に若干の変化はあるが、「目的がアジアの平和であることは変わらない。日朝人民の共通の願いである平和のために互いの関心事に取り組んで行けばよい」。
朝・日間には越えるべきハードルが少なくないが、両国の人々が、国交正常化を望んでいるのも事実だ。伊藤会長は「ぶつかり合う点が多くても、国交実現を目標に互いに道筋を探れば、テーブルにつけるテーマもある。まずは理解と信頼を深める努力が必要だ」と話す。