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共和国の芸術専門講師による民謡・チャンゴの講習会/西東京


 8月1日から始まった共和国の芸術専門講師による朝鮮舞踊、民謡・チャンゴ、話術の講習が大阪、兵庫、三重、岐阜、愛知、広島など各地で好評裏に開催された。8月26日、西東京本部講堂で行われた民謡・チャンゴの講習には、同胞愛好家や女性同盟支部サークルのメンバーなど女性ばかり約30人が参加。国立民族芸術団創作課長の韓鉄講師(48)がチャンゴ、万寿台芸術団の声楽家である金京玉講師(35)が民謡の講習をそれぞれ担当した。約4時間にわたって、本場の手ほどきをたっぷりと受けた同胞らは、祖国の講師との触れ合いを通じ、チャンダン(長短=朝鮮独特のリズム)を心と体で楽しんだようだ。(琴)

 

徐々に緊張ほぐれ

 開会式後、民謡とチャンゴにそれぞれ分かれて講習が始まった。民謡の講習には、西東京オモニノレサークルのメンバーを中心に、11人が参加。民謡を歌ったことはあるものの専門的に習うのは初めて。そのせいか、オモニたちの表情はいまいち硬い。

 まずは発声の練習から。金講師が一人一人のお腹に手を当てながら呼吸法の指導を行い、発音や息継ぎなどの基礎を中心に、時には実演を交えながら丁寧に説明する。オモニたちも配られた歌詞に、ポイントを漏らさずチェックするなど真剣そのものだった。

 次はいよいよ実演。「プンニョンセガ ナラトゥンダ」(豊年鳥が飛ぶ)、「アリラン」などを習うが、緊張からか体が強張り、声が裏返ったりしてなかなか上手く歌えない。そんなオモニらに、「お腹から声を出して」「抑揚を大切に」などと時には厳しい注意が入る。

 それでも金講師の冗談を交えながらの親切な指導に、次第にみなリラックスして歌うようになっていた。チャンダンの軽快なリズムに肩を揺らし、足でリズムを取る余裕も。

 歌い込むにつれ、歌の合間に「チョッタ」「チョッチ」(いいぞ)と、合いの手を入れるオモニたちも出てきた。そして講習も終わり近くになると、全員が笑顔で楽しみながら歌っていた。

 オモニノレサークルの孫紅貴さん(53)は講習時間が短いのを惜しみながら、「民謡は難しくて歌えないと思っていたが、自分にも歌えるという自信がついた」と話していた。

 

基本から教わる

 チャンゴとチャンダンの演奏理論から始まったチャンゴの講習には、女性同盟南部、八王子支部のチャンゴサークルのメンバーら21人が参加した。

 初心者にも分かりやすいように、チェ(ばち)の正しい持ち方、叩く時の姿勢など基本的なことから始め、実技に入る。

 緊張をほぐし、心からチャンダンを楽しむことが上手く演奏できる秘訣だと強調する韓講師。チェを握る手に力が入り、ついついリズムが走りがちになるオモニらに、「笑顔、笑顔」「体で表現して」などと優しく注意する。

 額に汗しながら、身振り手振りを交えた指導に、初めはリズムをつかむのに必死で演奏を楽しむ余裕のなかった受講生らも、いつしか自然とチャンダンに合わせ民謡を口ずさんでいた。

 チャンゴを習うのは初めてだという韓明美さん(36、中部支部)は「最初は不安だったが、親切な指導にいつしか楽しく叩いていた」と話していた。

 

「あっという間」

 4時間にわたる講習は、民謡とチャンゴの各受講生合同で、「プンニョンセガ ナラトゥンダ」を実演し、幕を閉じた。

 同本部で民謡・チャンゴの講習が開かれるのは今回が初めて。講習を受けた同胞らは、何ヵ月も前から心待ちにしていたという。とくに女性同盟南部、八王子支部のチャンゴサークルと西東京オモニノレサークル(40代以上)、アリランノレサークル(20〜30代)のメンバーらは、9月末に行われる西東京本部主催の共和国創建50周年記念祝賀行事に出演が決まったこともあり、「本場の指導」に期待を募らせていた。

 そして、待ちに待った講習の日。「楽しくてアッという間に時間が過ぎた」と話すのは、オモニノレサークルで35年間歌ってきたという李貞年さん(62)だ。日本各地を回ってきたにも関わらず、疲れた顔ひとつ見せない講師らの情熱的な指導に、「親切に教えてくれたので分かりやすかった。民謡はあまり歌っていなかったが、今後はどんどんレパートリーに取り入れていきたい」と意気込みを語っていた。

 八王子支部のチャンゴサークルに所属する康美恵さん(55)にとって同講習会は、初心にかえってチャ 
ンゴに向かう姿勢を新たにする契機となったようだ。

 「もうマスターしたつもりでいた基本的なチャンダンばかりだったが、こんなに奥が深いとは思わなかった。基礎が大事だと改めて感じた。今までは譜面を頭で覚えて演奏していたが、チャンゴは心と体で演奏するものだと知った」