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本の紹介/入門 朝鮮民主主義人民共和国 鎌倉孝夫、呉圭祥、大内憲昭 編


 本書は、「はしがき」にもあるように、近年、共和国の「崩壊」を一方的に予測する論評、情報が氾濫している(これらはどれも、この間の朝鮮社会主義の現状と将来を的確に予測したものはない)日本において、共和国の実像をできるだけ正確に、そしてわかりやすく読者たちに伝えようとする趣旨で出版されたものである。

 日本の学校教育では、近現代の日本とアジアの関係を正しく教育しているとは言えない。まして共和国と日本との国交は依然として正常化されておらず、「北朝鮮」という言い方に象徴されるように、市民の間には共和国に対する正確な知識は乏しい。さらに1990年前後にわたるソ連・東欧の社会主義体制の崩壊は、一層朝鮮式社会主義に対する理解を困難にしている。

 本書は、このような日本の状況を踏まえて、在日朝鮮人研究者と日本人研究者との共同作業として編まれ、共和国に対する初歩的な理解を目指している。

 本書は、次の8章から構成されている。T 共和国の歩み U 自然環境・民族・生活習慣 V 思想・国家・法 W 外交・統一 X 経済 Y 文化 Z海外僑胞政策と在日朝鮮人問題 [ 日朝国交正常化交渉。付録として資料編があり、「南北・米朝・日朝関係基本文書」や人口、雇用、産業生産、洪水による被害状況などの統計資料、簡単な対共和国ビジネス入門が収められている。

 読者は、共和国の全体像に接すると同時に、国家の指導思想であるチュチェ思想とそれに基づいて建設された朝鮮式社会主義についての理解を深めることができると思う。

 金正日総書記の指導のもと、自主と連帯の21世紀を目指す共和国の思想・基本政策の理解に役立とう。【2300円、雄山閣出版、東京都千代田区富士見2−6−9、TEL 03−3262−3231】