共和国創建50周年、各地で記念イベント
共和国創建50周年に際し、総聯各本部で記念イベントが盛大に行われている。6日には朝・日友好98KYOTOイオ・フェスティバルとコリアンスクラム98広島県フェスティバルが、13日には兵庫同胞民族フェスティバル、15日には群馬同胞文化芸術祝典がそれぞれ行われ、多くの同胞と日本市民らで賑わった。
兵庫
同胞民族フェスティバル
兵庫同胞民族フェスティバル(ポートアイランド南公園)には、同胞ら1万5000余人が集まった。阪神・淡路大震災以来、同本部管下の催しに1万5000人以上の人々が参加したのは初めて。
メインステージでは兵庫朝鮮歌舞団と生徒、児童らによる公演と空手演武などが披露。初・中級学校対抗のなわ跳び・綱引き大会、支部対抗のシルム(朝鮮相撲)大会なども行われた。
特徴的なのは、朝鮮のあいさつの作法について説明した民族風習講座など、「民族」をテーマにした催しが多かったことだ。とくに「メグィ(埋鬼)」という行事は一際、注目を集めた。「メグィ」とは、正月に行う伝統行事で、村の農楽隊がケンガリやチャンゴなどの楽器を持って村のそれぞれの家に入り、歌い踊りながら悪鬼を鎮め、家庭の無事と幸せを願うというもの。その家では謝礼として穀物や金銭を出し、集まった金銭などは村共用で使う。
総聯県本部の金春権教育部長は、「1世が若い頃はよく行っていたが、3世となれば見たこともないだろう。若い世代にこうした風習もあるということを伝えたかった」と語る。
農楽隊はテントでくつろぐ同胞たちの中に入り、歌い踊りながら会場を1周。初めは眺めていただけの同胞たちも、次第にチャンダンに誘われるように踊り出し、農楽隊が差し出す帽子に「謝礼」のお金をどんどん入れ初めた。合計11万5000円が集まり、県下の朝鮮学校にそれぞれ寄付された。
フィナーレを飾ったのは、1世から5世まで各世代の同胞約400人が出演した大農楽舞。観覧していた同胞らも飛び入り参加し、踊りの輪が会場いっぱいに広がった。
額に汗しながらチャンゴを叩いていた睦寿会の黄文奎会長(62)は、「世代交代が進む同胞社会ではどんどん民族心が薄れていっているが、こうした文化や風習など、民族の良いところを若い世代にしっかり守っていってほしい」と話す。
東神戸初中に子供を通わせている金吉央さん(33)は、「父母になって初めて参加した大きなイベントだったが、1世の喜んでいる姿が印象的だった。これからは自分たちの世代から子供たちの世代へと民族の代をしっかり継いでいきたい」と話していた。
京都
朝・日友好98イオ・フェスティバル
「21世紀の平和―通いあう心と文化」をテーマに行われた朝・日友好98KYOTOイオ・フェスティバル(京都府立総合見本市会館大展示場)は、朝・日合わせて2万余人が集まる盛況となった。
イオは朝鮮語で「継ぐ」「通いあう」という意味。このイベントが、朝鮮の文化を世代を継いで伝えていく催しに、また朝・日両国民の心のかけ橋となるようにとの思いが込められた。
ステージで披露されたチョゴリファッションショーには、日本の市民も出演した。実行委が京都新聞を通じてモデルを一般公募したところ、六人の市民から応募があった。
「成人式の時、チマ・チョゴリを着ていた人を見て、自分も着てみたいと思っていた」というのは音川加奈恵さん(20、フリーター)。ショーでは純白のブライダルチョゴリを披露し、喝采を浴びた。「朝鮮の人と接するのは初めてだったので気が引けるかなと心配もしたが、みな優しく接してくれて嬉しかった。チョゴリだけでなく、芸術公演など朝鮮の色々なことを知ることができて楽しかった」と満足気に話す。
実行委では宣伝も大々的に行った。開催の1月前からはテレビとラジオで1日に6回ほどCMを流し、1週間前からは市バスと地下鉄につり広告も出した。
当日、チヂムを販売した女性同盟伏見支部の鄭福子副委員長(56、非専従)は「こんなにたくさんの人が集まってくれて嬉しい。共和国を取り巻く情勢は複雑だが、こういう時こそ民間レベルで交流を深めることが大切だ」と話す。
「朝鮮の衣装や食べ物、芸術など様々な文化に触れて、朝鮮のことを少し分かった気がする」と話す矢野清美さん(51)は、チョゴリ試着コーナーで孫の記念写真を撮ったり、家族でイベントを楽しんでいた。
「最近、日本との関係が一層複雑になったが、何も知らずにどうこう言うのは良くない。まずは知ることから初めて、地域で互いに触れ合うことが大切だと思った」と話していた。
「文化を通じて人の心と心を繋ぐ意義あるフェスタだった」と安井勉・京都市議はイベントを振り返り、次のように語った。
「京都が発信地となって日・朝友好の輪が全国に広がってくれれば嬉しい」。
広島
コリアンスクラム98
共和国創建50周年記念広島県フェスティバル「コリアンスクラム98」が6日、広島市の基町中央公園で開かれ、各界各層の同胞ら2000余人が訪れた。
特設ステージでは広島朝鮮初中高級学校生徒、文芸同広島、広島朝鮮歌舞団による舞踊とチャンダンノリ、朝青員による空手の演武、オモニと子供たちによるチョゴリファッションショーなど、多彩な演目が披露された。
支部対抗の跳び箱やシルム(朝鮮相撲)競技などが行われ、「競技ひとつでも支部の力を示す場。これからもっと団結して行かなくては」と、地元支部の選手を応援する同胞たちの声で終始賑わった。中でも大いに沸いたのは、各支部から一人ずつ代表が出場した跳び箱競技。段が一段高くなるたびに歓声が上がり、お尻を跳び箱の角にぶつけたりしながらも必死で挑戦する出場者らの姿に、会場は爆笑の渦となった。
また総聯、女性同盟、朝青の各支部が設けた焼肉、チジム、ピビンパプなど朝鮮料理の屋台やフリーマーケットなども好評だった。
朝青福山支部の姜京純文化宣伝部長(19、非専従)は、「同胞たちが民族の慶事を共に祝う姿に熱いものを感じた。1、2世同胞らはこれまで、あらゆる苦難を乗り越えて組織を守ってきた。これから組織を守って、発展させていくのは私たち3、4世だ。昨年新たなスタートを切った朝青福山支部を、活気ある支部にするため、来年から専従になって努力したい」と決意を新たにしていた。
群馬
同胞文化芸術祝典
共和国創建50周年と朝銀群馬信用組合創立35周年を祝う群馬同胞文化芸術祝典が15日、前橋市の群馬県民会館で行われ、同胞ら500余人が観覧した。
群馬朝鮮初中級学校生徒と卒業生を中心に同胞ら約300人が出演した公演の1部では、日校学生会によるチャンゴの演奏と独唱、女性同盟メンバーらの重唱などが披露された。
とくに、朝青員らによる寸劇「祝杯を上げよう」は、「同胞結婚」をテーマに時には笑いを盛り込んだ演出で、観客らの笑いを誘い好評を博していた。
2部では、茨城朝高生徒らによる合唱「異国の空の下で」などに続き、群馬初中初級部低学年生徒らが「故郷の春」を披露。「故郷の春」の2番からは1世の同胞らも舞台に上がり、祖国への思いを込めて生徒らと一緒になって熱唱、公演のフィナーレを飾った。
白泰玉さん(82、高崎市在住)は、「ウリマルで歌うソンジャ(孫)の姿がとても嬉しかった。次世代を担う子供たちのためにも、今日の公演はとても意義深い」と語った。
今回の公演は、建国50周年を祝うとともに、文化芸術に触れることで、若い世代の同胞らに民族心を養い地元の文化芸術発展にも寄与しようとの目的で企画された。
「異国の空の下で」に出演した、茨城朝高3年の盧卿寿さんは「群馬初中の卒業生として、ただ歌うだけでなく、歌詞に込められた祖国と民族への思いを自分なりに考え、練習に励んだ」と語った。
尹淳培県本部文化宣伝部長(41)は、「毎年、定期的に行おうとの要望が多く聞かれた。そのためにもサークル活動をより活性化させ、発表の場も積極的に作って行きたい」と話していた。