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インタビュー//人工衛星打ち上げの科学者たち/労働新聞掲載


 労働新聞17日付は、共和国初の人工衛星打ち上げに携わった科学者たちとのインタビュー記事を掲載した。その冒頭には金正日総書記が述べた「わが国で人工衛星を成果裏に開発し打ち上げたことは、世界平和を守護し人類の科学技術の宝庫を豊かにするのに大きく寄与し、宇宙を平和的に利用するためのわれわれの科学活動は進歩的人民の共感と支持を得ています」との言葉を載せた。その内容を紹介する。

 

共和国初の人工衛星打ち上げ、宇宙開発の工業土台を築く/平和利用に貢献

 Q 共和国初の人工衛星を「光明星1号」と名付けたのは。

  今回の人工衛星打ち上げの成功は、金正日総書記の指導なしには考えられない。早くから最先端科学技術発展のために力を入れ、宇宙を朝鮮式に開発するうえでの設計図を描いた総書記は、この部門における科学技術の力量を整え、直接研究課題を与え、宇宙開発する工業の土台を築いた。こうして共和国では総書記の指導のもと、強力なロケット工業が創設され、人工衛星打ち上げのための国力が備わった。

 だからこそ、共和国の科学者、技術者は一致した願いを込めて「光明星」という名前を付けたのだ。朝鮮人民の間ではその指導の偉大さを賞賛して総書記を「光明星」と呼称してきた経緯がある。

 Q 人工衛星を自力で打ち上げるには高度に発達した先端科学技術と強力な軍事・経済的潜在力が必要だと言われているが。

  そのとおりだ。人工衛星を作り、それを打ち上げる技術は最先端科学技術の集大成だと言える。超高速で飛行するロケットの操縦システム設計、ロケットの飛行航路・姿勢の操縦技術、多段式ロケットの段階分離技術など、衛星を軌道に乗せる技術は世界的にも数ヵ国しか保有していない。

 多段式ロケットの段階分離技術だけを見ても、自国の衛星打ち上げ技術を保有している国でさえ解決が難しい問題の一つとなっている。

 共和国は純国産の多段式運搬ロケットを使い1回で軌道に乗せた。

 また、今回の人工衛星打ち上げを通じて、最先端技術の固体燃料を備えた高性能球形エンジン、数千度の高熱と宇宙線、放射線に耐えられる金属、非金属材料、宇宙通信技術など、共和国が朝鮮式に開拓したすべての先端科学技術の高さを実証した。

 Q 衛星打ち上げには莫大な資金がかかるため、やりたくてもできない国が多いというが。

  人工衛星の打ち上げ成功はその国の国力を集大成したもの――と言われるほど莫大な資金がかかる。

 人工衛星とロケットの制作費用を除いても、地上の発射場と衛星の操縦、衛星との通信だけでも3億ドル以上かかると専門家は推算している。現在世界的に、共和国を含めて衛星発射場を持つ国は10ヵ国以内だ。

 そのため少なからぬ国々が莫大な資金を出して他国の発射場を借りて衛星を打ち上げている。専門家によれば、他国に依頼して衛星を打ち上げる場合、衛星の重さ1キログラム当たり1万5000〜2万5000ドル必要という。

 このように、高度な先端科学技術と強力な国力が保証されなければならないため、多くの国が自力で衛星を打ち上げられずにいる。

 Q 衛星を打ち上げるのに適切な時間はあるのか。

 A 一般的に衛星は夕方か日の出前の明け方に打ち上げるのが理想的だ。星が夜にしか見られないように、地上が暗く衛星が太陽の光を受けて輝く時、上空を通過する衛星を肉眼で観測できるからだ。打ち上げ時間を決めるもう一つの重要な要素は、高空に風がないことだ。

 だが気象予報によると、打ち上げ当日の8月31日は、昼間は晴れ高空に風はないが、夕方には強風が吹き大雨が降るということだった。

 打ち上げ準備は万端で、昼に打ち上げた場合でも観測設備を利用して監視できるので、時間を早めて昼間(同日午後零時7分)に衛星を打ち上げた。

 Q 軌道に乗って周回している「光明星1号」をいつ肉眼で見れるのか。

 A 初歩的計算によると、10月5日頃だ。この日が晴れならば平壌上空を通過する衛星を肉眼で確認できるだろう。

 Q ロケットの航路が日本の北海道と本州の間の津軽海峡上空を越えたが、打ち上げ方向をこのように選定した理由は。

 A 元来、最大速度を得るために選定する最も理想的な発射方向は真東(方位90度)だが、それでは日本の上を経由する。

 だが、最も理想的な発射方向を得られなくても、周辺諸国の自主権を尊重するために、損害を被ってまで衛星の発射方向を修正した。条件は不利だったが、発射方向を方位86度方向(北海道と本州の間の津軽海峡上空)に定めた。

 さらに、衛星をもっと高く打ち上げることもできたが、そうすれば分離された2段階目が日本の領海近くに落下することもありうるため、慎重に考慮した。そのためわれわれは、損害を被っても他国の自主権を尊重する原則で衛星発射の高度を下げた。

 われわれがこれほど深思熟慮して打ち上げたのに理解を示さない人々が日本にいるのは遺憾だ。

 Q 初の人工衛星を8月31日に打ち上げたのに、なぜこの朗報を9月4日に公表したのか。

 A 世界的にも衛星打ち上げを公表しない場合が少なくないが、共和国は初めから公表することにした。だがその際、衛星打ち上げの成功確認と諸般の測定資料などを収集、総合した後で慎重に公表するという原則を立てた。

 打ち上げから数日間は十分に観測し、その科学性と信頼性が確証された後にこの事実を公表した。そのため公式発表が少し遅れた。

 Q 一部の国では人工衛星打ち上げと関連し「弾道ミサイル」とうんぬんしているが。

 A それはこの分野の初歩的な知識もないことを示すものだ。この分野に一定の知識があれば、衛星運搬ロケットと弾道ミサイルの違いはすぐ分かる。

 まず軌道がまったく異なる。

 衛星運搬ロケットは3段目を始動させる時、地球の表面と水平を維持し、軌道に沿って周回するようになっている。

 だが、弾道ミサイルは最終段階で地球の水平面と40〜45度の傾斜角で弾道の航路に沿って動く。これは初歩的な知識で、ロケットの航路は観測で簡単に分かる。

 にもかかわらず、この分野で完璧な科学技術を持つ国々からこうした見解が出されるのは、何か不純な目的を持っているとしか考えられない。

 Q 今後、打ち上げが予想される実用衛星について。

 A 今回打ち上げた「光明星1号」と多段式運搬ロケットはすでに六年前に開発されていた。その時打ち上げは可能だったが、国際情勢に与える影響を考慮して遅らせてきた。とくに、金日成主席が逝去した後の3年間は服喪期間だったため見合わせた。しかし、最高人民会議第10期第1回会議と共和国創建50周年を契機に、初の人工衛星を打ち上げることになった。

 この期間、われわれは衛星打ち上げのための万端の準備を整える一方、実用衛星の研究に力を入れ多くの成果をおさめた。

 今後打ち上げられる実用衛星は、装備も現代化水準も新たに高い段階に達しており、運搬ロケットの威力ももっと大きい。